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テレワーク・チュートリアル
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労働時間の管理
テレワークにおいては、労働時間の管理が重要です。
テレワークでは、作業の遂行に個人の自律性を尊重し、労働時間の管理においても大幅に個人の裁量にゆだねることになりますが、当然ながら全く自由にしてよいわけではありません。労働者は労働契約にもとづいて雇用されており、勤務場所、賃金などの条件が指定されています。 雇用者には、労働者の労働時間の適正な把握をするとともに、安全衛生に関して一定の配慮義務を負っています。
労働基準法は、産業構造の変化に伴い多様化する就労形態の実態にあわせて、多様な労働時間制を認めてきています。変形労働時間制やみなし労働時間制がそれであり、テレワークにおいては、これらの制度を上手に活用することが大切です。
(1)変形労働時間制
変形労働時間制とは、単位となる期間を平均して1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えなければ、一部の日・週で法定労働時間を超えても割増賃金なしに労働させることができる制度です。労働基準法では各種の変形労働時間制が認められていますが、このうちテレワークに最も適しているのはフレックスタイム制です。
フレックスタイム制は、1日の所定労働時間の長さを固定的に定めず、1か月以内の一定期間(清算期間)を定めておき、労働者がその範囲内で各自の始業及び終業の時刻を自ら選択して働く制度です。フレックスタイム制によれば、清算期間を平均し、1週間の法定労働時間が週の法定労働時間を超えない限り、時間外労働とならず、割増賃金の支払いは不要になります。
フレックスタイム制では、一日の労働時間帯を必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレックスタイム)に分けるのが一般的です。
コアタイムを全くもうけないことも可能であり、この場合にはスーパーフレックスタイム制と呼ばれたりします。
フレックスタイム制は、自立的・創造的かつ効率的な働き方により、仕事の質と能率が向上する、家庭と仕事の両立が容易になり生活が充実する、時差通勤などにより心身の健康が向上するなどのメリットがあるため、現在では多くの企業により採用されています。
テレワークの目的は、基本的にはフレックスタイム制の目的の延長線上にあると考えられます。
(2)みなし労働時間制
みなし労働時間制には、事業場外労働制と裁量労働制があります。更に、裁量労働制には専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制に分かれています。 これらの労働時間制度もテレワークと適合性が高いといえます。ただし、対象となる業務に制限がある、手続きが厳格などの点があるため注意が必要です。制度はどうしても変化する実態に遅れてしまいますが、今後とも、実態に即した制度の改善、運用が期待されるところです。
(a)事業場外労働制
セールスパーソンなどのように労働者が労働時間の全部または一部において事業場外での業務に従事する場合で、労働時間の算定が困難なときには、原則として所定労働時間労働したものとみなすというものです。なお、当該業務遂行のために通常必要とされる時間が定められる場合には、この時間を当該業務遂行に必要とされる時間とみなします。労使協定が締結されているときには、その協定の定める時間がみなし時間となります。
事業場外労働時間制をモバイル勤務者に適用することが考えられますが、その場合、注意が必要です。 というのは、この制度は「事業場外で業務に従事する」とともに「労働時間の算定が困難なとき」という条件があり、後者については、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定できないことという条件があるからです。
最近のセールスパーソンは、事業所外から携帯電話等で適宜、上司からの指示を仰ぐことがほとんどです。始業終業の連絡も、特別の場合でない限り随時できるようになりました。そこで、モバイル勤務者が必ずしも事業場外労働時間制の対象になるとは限らないことに注意する必要があります。
(b)専門業務型裁量労働制
業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者の裁量にまかせる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定などについて使用者が具体的指示をすることが困難なものとして定められている11の業務が対象になります。これらの業務は、研究開発業務、弁護士、弁理士などがあります。
労使協定において、裁量労働に該当する業務を定めることになります。また、労使協定にて当該業務の遂行に必要とされる時間を定めた場合には、この時間を労働したものとみなされます。
(c)企画業務型裁量労働制
従来からの専門業務型裁量労働制に加え、事業運営上の重要な決定が行われる事業場において、次の条件を満たす業務を行う労働者を対象に創設され、平成12年4月に施行された新しい制度です。
(1)事業の運営に関する企画、立案、調査及び分析の業務で、企画、立案などを個々に行う業務ではなく、これらを組み合わせて行う業務
(2)業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にまかせる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定などについて使用者が具体的指示をしない業務
この制度の実施にあたっては、厳格な手続きが定められています。
まず、法定要件を全て満たす労使委員会を事業場内に設置し、所定の事項について労使委員会での全員の合意により決議すること、決議は所轄労働基準監督署長に届け出ること、適用に当たっては本人の書面などによる同意をとることが必要となります。
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