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テレワーク・チュートリアル
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企画職
企画職のBさん
食品会社の商品開発企画を担当する Bさんは、昨年より毎週水曜日を自宅にてテレワークしている。
Bさんの最も重要な職務は、会社の強みを生かした次世代の主力商品を提案すること。しかし、オフィスにいると雑多な日常業務に追われ、じっくり考える余裕がない。電話や訪問者への対応が続き、気がつくと夕刻になっている。社内外からの調査レポートはいつも回覧用のトレーに山積みになり、時間があったら読みたいと思っている資料も、結局読まずに回覧ずみのチェックを入れて次にまわす毎日である。このため、せっかくのレポートもほとんど記憶の片隅にすら残らない。
Bさんは、会社のオープンスペースは調査や分析の作業にはもともと適していないと思っている。同僚の大声での電話、同僚の会話、背後からの課長の視線は、気にならない性分ではあるが、集中した思考をするには妨げになる。
会社では、企画部門への裁量労働制をいち早く導入することになった。企画や調査部門が長時間労働である一方で、他社との競争に打ち勝てるような新たな商品や施策が生まれていないことについて、経営層の危機感が表明されたのが発端である。創業者社長がトップである同社は、自由闊達で風通しのよい社風で知られているが、最近はぱっとしない。ことなかれ主義の保守化の傾向があるのも原因の一つである。
そこで経営計画のなかで経営管理部門は人事や管理システムの大幅刷新が課題となった。経営管理部は、対策の一つとして平成12年の労基法改正によって可能になった裁量労働制に加え、部分テレワークの導入を提案、これをサポートする情報システムの改善とあわせて経営会議にて了承されることになった。
Bさんは、自ら希望してテレワークプログラムに参加した。
Bさんは、水曜日には、朝食後10分ほど自宅近所を散歩することからはじめる。当初は近所の奥様方の目が気になったが、今は笑顔で挨拶できるようになった。散歩から戻ると会社の始業時刻。PCの電源を入れるのが儀式である。メールにて始業連絡をして、連絡事項などを確認。その後、午前中一杯は、会社から持って帰った資料に目をとおしたり、PCでレポートのまとめを書く。
集中しているとすぐに昼食になる。昼食は、夫人と一緒に簡単にすます。新聞やテレビを見るとじきに2時近くになる。
午後の始業のきっかけはシャワーをあびること。これで気分爽快になる。午後はインターネットで他社や海外、世の中の動向チェックから始まり、午前の仕事の延長。するといつのまにか5時近くになる。この時間になると、天気がよければ駅前のスーパーや商店街にでかける。買い物とあわせ、売れ筋商品や関心を持っている商品の調査が目的である。
当然ながら、スーパーや商店街の平日の客層は土日とかなり異なっている。これまでと違って、じっくり時間をかけて観察することができるようになった。
帰宅して夕食後は、しばらくテレビをみてから、9時から11時ころまで業務関係の本を読むことにしている。これまで読むことができなかった難しい文献もじっくり読めるようになった。時には12時をまわることもある。
会社からの電話は思ったほど多くない。すでにコミュニケーションの大半が電子メールに切り替わっているからである。社外からの電話については、庶務担当が、「本日は外出しており戻りません。お急ぎの場合は折り返し電話させます」との対応しているため、問題になることはあまりない。
以前より会社は、社員の健康維持と時間外労働の削減のため、水曜日をノー残業デーとしてきたが、昨年より水曜日をノー会議デーを推奨しているため、社内会議もほとんどない。その分、電子メールやグループウエアによるコミュニケーションが以前より活発になった。
Bさんの上司は、当初、テレワーク制度に否定的な態度であり、Bさんが希望した時も、困惑を隠さなかったが、今ではサポートする姿勢にかわっている。Bさんだけでなくテレワーカのほとんどが、目標やスケジュールが具体的で、しかもその達成率が高いこと、期間ごとの成果が、グループメンバーが参照できる文書で明確に蓄積されていることが評価されている。
もともとテレワーカは自己管理能力が高いもののみが認定される仕組みであり、目標の設定と確認の面談が非テレワーカより徹底しているからという指摘もあるが。
Bさんは、週1日のテレワークを始めて、1年に満たないが、仕事をする場所が違うと、いかに多くの仕事がこなせるかに正直驚いている。
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