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テレワーク・チュートリアル
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米国での普及の理由
米国では、現在、2千万人以上の労働者がなんらかの形のテレワークをしているといわれます。 全労働者の10パーセント以上に達します。このように普及している原因については次のような点が指摘できるでしょう。
1.個人主義
米国では、集団より個を重視する考え方があります。他人に頼るのでなく、自己責任、自己管理の意識が社会全体に強く浸透しており、労働の面においても、自己責任のもとで自分にあったワークスタイルを追求しようとします。
2.労働契約
日本と違って労働者は職務内容はJob Description として明確にされており、給与はこの職務に応じて支払われることになります。そして、給与は年俸制が多く、期末査定によって次年度の年俸がきまります。 このように、いわゆる非管理者においても本人業績は、勤務場所や勤務時間より、仕事の中身で評価される成果主義がごく当たり前になっています。それから、Exempt worker といって、所定勤務時間を超えて働いても時間外勤務手当ての対象とならない労働者が日本より相対的に多いともいわれます。
3.家族や地域社会
米国人は日本に比べ、家族や地域社会を大切にする傾向があるといえるでしょう。家族との関係を犠牲にして仕事を優先するという考え方はもっていません。地域や学校のボランティアには積極的に協力し、企業もこれをできるだけ支援しています。
4.車社会
米国では、日本と違い車通勤が多く、テレワークがはじまった1970年代には都市部での交通渋滞が悪化の一途をたどっていました。米国人からみると日本の通勤地獄も異常きわまりないと見られますが、とにかく、この交通渋滞を避ける対策としてテレワークが注目されました。
5.行政
連邦政府や地方自治体での積極的な推進姿勢もみのがせません。各地に共同利用できるテレワークセンターを設置したり、行政機関自身がテレワーク制度を設けて、職員のテレワークを認める措置をとってきています。
6.時差
米国は東西海岸で3時間の時差があるという広大な国のため、早くから、電話による会議など情報通信の利用が普及していました。この時差のせいもあり、始終業などの勤務時間や勤務場所について柔軟な考え方をもっていたという見方もできます。
7.住居
個人の家の広さを指摘する人もいます。1部屋がホームオフィスとして専用できる人の割合が多いといえるでしょう。
8.企業
そして、テレワーク導入主体である企業の対応です。テレワークは情報通信を利用するため、AT&TやIBMなどの企業が自社サービスのマーケティングの目的もあり、先駆的な役割を果たしてきました。そして今では、テレワーク制度などのフレキシブルなワークスタイルの制度は優秀な人材を確保するためにも不可欠なものとなっているといえます。
行政、企業に加え、企業にテレワーク導入を指導してきた民間コンサルタントの役割も大きいように思われます。
以上のように、米国は日本の状況と大きな違いがあるように見えます。確かに、これまでは、その違いが普及の差となって表れたといえるでしょう。
しかし、近年、欧州や日本でテレワークの普及がはじまりました。産業構造の急激な変化、労働に対するの考え方の変化、そして情報通信技術の進歩があります。自宅に専用の部屋を準備できなくても、小型PCや携帯端末があれば、仕事ができる状況になってきました。経済が長期低迷を続けるなかで、今後、確実にしかも急速に進む少子高齢化はわが国における最も深刻な問題となって迫ってきています。今こそ、米国の良い事例に学び、米国以上に進歩した情報通信環境を活用して、社員の自律意識を高め、新たな企業価値を生み出す契機として、テレワークに注目すべきと考えられます。行政も、より強力な推進策にとりくむとともに、工場での過酷な長時間労働からの保護の流れをひきづった現行労働法規の見直し、自己責任、自己管理を大幅にとりいれる必要があると考えられます。
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