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資料テレワーク・チュートリアル
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    専門職
  • 専門職のCさん
    コンピュータソフトウエアメーカに勤める女性のCさんは、在宅テレワーカーである。

    ビジュアルベーシックやジャバでのプログラミングを得意とする会社でも中堅のプログラマーである。入社して約10年になる。一昨年まで都内にある開発センターに通勤していた。昨今の業務拡大に伴いこの開発センターは手狭になりビル機能も老朽化してきたため、一昨年末、郊外に引っ越すことになった。その際、以前に比べて通勤時間が大幅に増加する社員が少なくなかった。Cさんもそのひとりである。これまでは1時間足らずだったが、移転後は2時間近くかかることになった。

    在宅勤務の女性イメージ
    加えて、Cさんには同居している母親の健康状態が数年前より悪くなった。時々、休暇をとって介護をすることもある。開発センター移転の話がもちあがった時には、このまま現在の会社勤務を続けていけるか正直心配だった自宅近所の企業に就職するか、在宅でできる仕事をみつけようかとぼんやり考えたこともある。

    似たような不安を持つ社員が少なくなかったことから、会社は開発センター移転に伴い、テレワーク制度を導入することにした。会社にとって、Cさんのような有能なプログラマーに退職されると大きな痛手となる。最近は採用にコスト時間がかかるし、採用してもCさんのレベルまでに育成するには少なくても2−3年はかかる。

    導入した会社のテレワーク制度では、各人の職務内容と個人的事情により、主たる勤務場所を自宅とするかテレワークセンターとするかが選択できる。テレワークセンターは、開発センター勤務者の住居分布などを考慮して2か所に開設された。1箇所は、以前の開発センターにほど近い会社の事業所の一角に置かれたが、もう一箇所は、郊外にある会社の社宅の一部を改修して開設された。

    自宅イメージCさんの場合、1週間に3日ないし4日間を在宅テレワークとすることが認められた。それ以外の1日ないし2日、すなわち火曜日と金曜日に(新)開発センターに出向く。開発センター内には以前のような自分専用のデスクはない。デバックなどをするラボ、ミーティングルームそれに共用のワーキングスペースが仕事場になる。開発センター全体で約2割にあたる40名がテレワークをしていることから、会社は社内の定例会合や打ち合わせは火曜日と金曜日のいづれかにするよう奨励している。

    自宅での作業は、会社支給のパソコンを使用したプログラミングがほとんどである。


    出社時に、グループのメンバーと相互のインターフェイス条件など仕様の確認をまとめて行うとともに、成果を提出報告する。特段、在宅作業によって不都合になることはない。急な仕様の変更や質問や指示などは電子メールでくる。プログラミング結果については、出社時にラボにて確認するのが原則であるが、時には、オンラインで送信することもある。その際は、ADSL回線を利用したインターネットVPNで、センター側サーバにアクセスする。

    テレワーク日には、毎朝晩、作業の開始と終了をリーダと庶務担当Dさんにメールで伝える。Dさんからは、庶務的な連絡事項などがあれば連絡してくれる。

    Cさんは、テレワークをするようになってから、仕事の能率が上がったと感じている。

    1週間あるいは1か月単位で、仕事の進捗を自分で綿密に管理できるようになった。出社日には、1週間分の仕事を確認するとともに、他のメンバーと今後の作業に必要な仕様の確認を効率的にすませてこられるような習慣がついた。そのためには、分担している作業内容を他のメンバーに明確に説明する必要があるので、自らのドキュメンテーションの質が向上したと思っている。

    会社は新開発センターに移動後、ソフトウエア開発の生産性が全体的に向上したと判断している。テレワーカ制度の導入も生産性向上の一つの契機になったと評価している。

    個々人が自らのやるべき仕事を認識し、自律的にスケジュールを管理する意識がセンター全体に浸透してきたからにほかならない。

    Cさんは生真面目な性格であるので、リーダの目下の心配は自宅で働きすぎないように注意することである。また、グループ内でのコミュニケーションが少なくならないように、金曜日には全体会合後、懇親会を開くことにしている。以前より、顔をあわせる機会が少なくなったのに、グループ内助け合い精神も出てきてお互いが近くなったようで不思議ともらしている。