音声読み上げの利用時に配慮して、ナビゲーションをスキップして、コンテンツへジャンプします。
メインメニューへジャンプします。
サイト情報へジャンプします。


ホーム > コラム > 188. 「紅白に見るNHKの混迷」
コラムコラム

    188. 「紅白に見るNHKの混迷」 (12月10日)

今年も残りわずかである。この時期になると、大晦日恒例のNHK「紅白歌合戦」が何かと話題になる。たかが歌番組というべきではない。「歌は世につれ、世は歌につれ」という言葉にもあるように、流行歌はその時代の世相や私たちの心象風景を反映している。一年の終わりに家族とともに、その年のはやり歌を通じて一年を振り返るのは悪くない。

国民的行事とは大袈裟すぎるが、少なくとも当のNHKにとっては一年を通じての最大イベントであるに違いない。そのNHKにとって今年は不祥事が相次ぐ試練の年だった。だから今回の紅白の企画はNHKがどのように変わったか、あるいは変わろうとしているかを判断する意味でも注目されたのである。紅白に見るNHKの混迷

しかし、現在までの発表を見る限り、こうした期待に応えているようには見えない。むしろ、混迷を深めるNHKの現状を象徴しているかのように映るのである。

例えば、「すきうた」である。紅白で歌ってもらいたい歌手と歌を一般公募した初めての試みであった。しかし、きくところによると、集計結果は、選考の単なる参考にするだけとのことである。票の集まりが悪かった、想定外の偏りがあったということらしい。しかし、プロ野球オールスターのファン投票同様、このような方法では組織票が入る、一部に偏ることは当然予想されたことである。折角、投票してくれたNHKファンの気持ちを踏みにじる結果になるのではないかと心配される。実際、投票用紙というのを取り寄せて一票を投じた知り合いが怒っていた。

男女が紅白に分かれる合戦形式も相変わらずのようだ。特に、評判が良くないと思われるのは、歌の合間を埋めるための余興(?)、そして最後はどちらが勝ったかという空騒ぎである。

このお決まりのスタイルをかくも長い間守ってきたのには驚くほかはない。内部には様々な意見があるであろう。しかし、視聴率を稼いでいるからといって無視されてしまっているに違いない。ビジネス界でもよくある話である。すでにユーザの離反は始まっているのに、圧倒的なシェアゆえに、変えることが怖いのである。

個人的には大のNHKファンである。「その時、歴史は動いた」にしろ、「プロジェクトX」にしろ、我々団塊世代のビジネスマンにとって、NHKでしかできないと思う番組が多い。だからこそ、変われないことが残念でならない。 (12月10日)