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    210.「ネット墓地」(4月10日)

3月31日の読売新聞朝刊の記事より。

中国ではネット上にお墓を持つ人が8万人もいて増加中であるとのこと。バーチャル空間上で、故人のお墓参りが居ながらにしてできるわけである。ネット墓地

中国では日本と違って土葬が多いらしい。国土が広いといっても人口が十億を超える国であるから、墓地の確保は切実な問題であり、場合によっては環境汚染問題でもある。そこで、行政も、火葬のほか、海葬、樹葬、草葬など、環境に良い埋葬方法を奨励しているとのこと。その極めつけはネット葬というべきものである。ネット上での墓参とは味けない、安易過ぎるという声があるだろうが、墓に対する考え方や故人の偲び方は人それぞれである。最近のヒット曲のように、故人は お墓にいるのではなく、千の風になって吹き渡っているのかもしれない。

ネット墓地には物理的な場所をとらず環境汚染がないということに加え、他にも優れた特性がある。それは、様々な設計やデザインができることや、多くの人が墓参できることである。墓の形や供物、背景などを自由に選ぶことができる。ホームページ上で故人の思い出の写真や記録ともに悼むこともできるだろう。中国に限らず、わが国でも色々なサービスが始まっている。従来のお墓はお金がかかり過ぎる。少子化の影響もあり、後々、守ってくれる人がいないなどの理由もあるようだ。しかし、様々な事情があるとはいえ、何よりも故人の遺志が最も尊重されなければならない。安全安心なサイトにおいて、いわゆる永代で管理されるシステムが必要である。また、招かれざる墓参、すなわち不埒な人間による改竄等を防止するためのハッカー対策も欠かせない。

今年、太平洋戦争での硫黄島での惨劇を兵士たちの思いとともに知ることになったが、それは彼等の手紙が幸運にも残っていたからである。太平洋戦争を経験した世代が次第に少なくなっていく。身近の人々の苦労の数々や先祖の思いを知って、我々が今生きている有難さがわかる。別に墓地という形でなくても、ディジタル化を通じて故人の足跡を永く近親者たちに伝えることができるように思われる。 (4月10日)