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    205.「敵は消費者の無関心」(12月10日)

任天堂のWiiとソニーのPS3の販売開始により新たなゲーム機戦争が始まった。

わが国はゲーム大国と言われ久しいが、近年は頭打ちであり、ソフト開発では米国等におされている。人口減少は歯止めがかからないから、今後もゲームに熱中する年頃の子供の数は減る一方である。敵は消費者の無関心

そこでゲーム機メーカーは、ゲームに飽きたマニアを振り向かせるだけでなく、これまでゲームに無縁だった新たな顧客層を開拓する必要に迫られている。表題は、Wii発売に際したとあるインタビューでの任天堂の岩田社長の言葉である。

こうした市場環境の中で、今回登場した両者の新型ゲーム機コンセプトは明らかに異なっている。

PS3では高性能化を徹底的に追求し、セルプロセッサやブルーレイディスクなどの最新の技術をこれでもかといわんばかりに詰め込んでいる。 とある展示会にて、アルプスの山々を背景にしたPS3レーシングゲームのデモ映像を見たが、実写に見間違えるほど素晴らしい出来ばえだった。大画面TVが普及しているから、バーチャルリアリティが体験したいというゲーマーは多いに違いない。

一方、WiiにはPS3に比べると最新の技術はほとんどないといっていいだろう。Wiiは、高精細の映像よりも娯楽としてのゲーム機にこだわり、家族で楽しめるおもしろさを追求している。 パソコンやマイコンでなく、ファミコン(ファミリーコンピューター)と呼ばれてきた同社ゲーム機の原点回帰といえるかもしれない。車に例えると、PS3がレクサスのような高級車あるいはスポーツカーに対して、Wiiは家族の日常生活に便利な軽自動車といえるかもしれない。

これらの新ゲーム機の内部構造を最近の日経エレクトロニクス誌が実物大写真で比較分析しているが、これを見ると両者の違いがよくわかる。Wiiは小型シンプルな設計で、部品点数が少ない。消費電力も少ないから、放熱用部品(ヒートシンク)の大きさはPS3の10分の1ほどであるという。

その一方で、Wiiに目新しいのはリモコンである。家電機器のそれより少し細長のリモコンの内部に加速度センサーのほか、テレビ側に置かれたLEDランプの光を検出するセンサーが内蔵されている。そこで、このリモコンを画面に向って動かすことで、リモコンの位置や速度を検出できる仕組みになっているようであり、ボーリングやテニスなどのスポーツが楽しめる。 

世の中は健康志向が高いからDSでは脳年齢の測定がヒットしたが、今度は、運動能力や身体年齢が計測されるという。そういえば、最近、ナイキとアップルは、運動靴の中に埋め込んだセンサーとiPodの組み合わせで、運動量を計測できる商品を売り出したとか。

いずれのゲーム機ともネットワークとの接続や連携を強く意識している。従来のゲーム機でもインターネットなどのネットワークとの接続機能があったが成功したとはいい難い。その原因はゲーム機の性能が劣っていたというより、通信速度や料金というネットの側にあった。しかし、現在は状況が全く異なる。先日、通信速度や料金といったブロードバンド環境面でわが国は世界一という調査結果が発表されたが、FTTHの急速な普及も始まったばかり。その中で登場した新型ゲーム機は従来のゲーム機の枠にとらわれず、TV,PC、ケータイと異なる特徴をもつ新たな通信放送メディアに発展する可能性がある。 いずれにしろ、新型ゲーム機が来年のヒット商品番付の上位を占めるのは間違いないだろう。