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    202.「佐世保を出る理由がありません」(11月11日)

先日の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)という番組でのお話。

テレビ通販の大手であるジャパネットたかたの高田社長のインタビューでは、商売の極意を垣間見たようでおもしろかった。佐世保を出る理由がありません

テレショッピング番組は、退屈なおりの暇つぶしによく、大抵いつの間にか売り手の話術に引き込まれてしまい、結構長い時間楽しんでしまう。 たった一つの商品の、視聴者がなるほどと思わせるような優れた機能や特徴を、自ら試してみせ大仰に感嘆する。それは、フーテンの寅さんの口上のような、優れた大道芸の技を見るようでもある。実際、高田さんが商品を紹介すると、他の人の4倍は売れるそうで、紹介直後には数百人もいるコールセンターの電話が一斉に鳴り出すらしい。

司会の村上龍さんが秘訣についてきいたところ、「その商品が好きになること」と答えた。自分が気にいったから自信をもって人に勧められ、その本気が視聴者に伝わることだそうだ。なかば当然ではあるが、商売の本質を突いている言葉だろう。

もう一つ印象に残ったのは、商品の特長を表現するキーワードを何度も繰り返し述べるのが効果的という。前首相のワンフレーズポリティックスにも相通じるが、自信に満ちた態度で、短い言葉を何度も連呼されると、いつの間にか頭の隅に残るから不思議である。

筆者も高田さんの話術に乗せられて商品を「衝動買い」してしまった経験がある。しかし、決して後悔はしていない。後悔していないというより、衝動買いをして良かったと思っている。

この高田さんは九州は佐世保の出身で、司会の村上龍さんと同郷とのこと。そこで、なぜ佐世保を離れないかとの質問には、「知り合いも多いし、食べ物はうまいし佐世保を出る理由がないから」と答えた。通信も物流ネットワークも発達した今日では、あえて都会に移る理由は全くないのだという。  確か大リーグマリナーズの城島選手も佐世保の出身である。港町で米兵など外国人も多い土地柄ゆえ、固定観念に囚われない新しいタイプの日本人が多く輩出するのだろう。 (11月11日)