グーグルの快進撃がとまらない。
今をときめくユーチューブという会社を2千億で買収したが、それは時価総額10兆円を超える企業にとって大層な金額ではない。
グーグルは1998年に米国の若者2人により設立された。ディレクトリー型と呼ばれるヤッフーなどの検索エンジン方式と違った方式(ロボット型)を考案し、それを基礎に瞬く間に業界トップにのし上がった。
日夜、世界中のWEBサイトをくまなく徘徊し、キーワードごとにWEBページを優先度の順に分類することで、ユーザーからのリクエストにすばやく応答する。過去の検索エンジンに比べて優れているのは、ほとんど人手に頼らない方法を使用しているのにかかわらず、高い確率で重要度が高いと思われる順に検索結果が表示されるところ。
先日、とあるセミナーにて、グーグルの検索エンジンの基本的なアルゴリズムについてお話を聞く機会があった。グーグル検索でのページのランキングづけ、つまり表示の順番は、他から参照されるリンクを考慮して行われていることは良く知られているが、グーグル創始者の学位論文などからみると、リンクの数だけでなく、その質をも考慮した数値を加算することでページの価値を計算しているとのこと。
学術論文の世界では、他の論文に引用、参照される件数の多い論文は評価が高いという似た考え方があるが、この計算では、めったやたら外部へのリンク数が多いページからのリンクは、それだけ価値を割り引くなどの工夫がされている。
この考え方を簡単な算数(足し算)で表現し、世界中のあらゆるWEBページの価値を数十万台のコンピューターを動かして力任せに計算するのである。わかってしまえばなあんだと思うほど簡単な仕組みだから、「コロンブスの卵」、いや、「グーグルの素」というべきかもしれない。30万台、いや50万台もの計算機を動かしているというのが桁外れではあるが。
便利な世の中になったものだが、何を調べるにも、まずは検索から始めるというご時勢になったから、グーグルの検索エンジンで邪慳に扱われてしまう「グーグル八分」が心配される始末である。
このようなことを可能にしたのは、PCのCPUやメモリの急速な進歩である。その進歩のスピードは想像を絶することから、グーグルも安閑としてはいられない。国も、グーグルに支配されないように「情報大航海プロジェクト」という国家プロジェクトが始まった。
何でもオープンで新しいこと好きな米国に比べてわが国は 分が悪いが、日本が強そうな環境もある。平均的に知的レベルの高い1億以上の人々、それにIT環境である。PCに加え、世界で最も高機能のケータイが高速でつながる環境は世界においてそうはない。Web2.0の次に来る3.0の時代には、これらの環境の中から日本発のグーグルが生まれてほしいものだ。(11月3日)