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    193. 「ガソリン価格高騰とテレワーク」 (7月4日)

以前、米国連邦政府機関でのテレワーク推進状況について書いたが、最近の別の調査レポートによると、在宅勤務等のテレワークを次のような切実な理由から希望あるいは関心を持つ職員が増加しているという。

その一つは、ガソリン価格の急騰である。米国ではマイカー通勤が多いのに、日本の通勤手当のような制度がないことから、ガソリン価格上昇はそのまま自分たちの懐を直撃する。過去、十年に満たない間にガソリン価格は倍以上になったから大変だ。

このガソリン価格は州によって大きく異なるが、ニューヨークやワシントンなどの東海岸では現在、1ガロン(3.79リットル)あたり3ドル前後で推移しているようだ。リッター換算では、まだ日本よりずっと安いのだが、広大な国土で何でも車でないと生活できない国柄だから、その高騰の影響は極めて大きい。 ガソリンの価格高騰

十年近く前、米国在住のおり、円レートは現在とほぼ同じで、ガソリン価格は1ガロンが1ドル強だったから、米国の1ドル札は百円玉、1ガロンは日本の1リットルと考えるとわかりやすかった。加えて、広い米国では1マイルは日本の1キロの感覚である。その割合で現在の水準を考えると、ガソリンスタンドでリッター3百円を払うという勘定になるわけだ。そこで、ブロードバンドを活用して自宅で仕事ができればと考えるのももっともである。

もう一つ、テレワークに関心が高まっている理由に、大規模テロ等に対する危機管理の側面がある。例の911テロでは、ワシントンのペンタゴンも襲撃対象になったことは記憶に新しい。北朝鮮ミサイルが間違ってワシントンまで飛んでくることはないであろうが、911のようなテロは大都市中心をターゲットに、いつ起こるかわからないから恐ろしい。そこで、自宅などで分散して働くテレワークが注目されるのである。加えてこの冬には、鳥インフルエンザの世界的な大流行が懸念されたことから、そうした流行病の大規模感染が発生する場合にも、国民生活に不可欠な業務を継続させることのできる手段として、テレワークの準備が考えられたのである。