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    192. 「YouTubeが人気のわけ」 (6月26日)

ネットに慣れた方々には旧聞に属する話題かと思うが、現在、YouTubeという無料動画サイトが人気を集めている。昨年はじめ、米国で始まったサイトだが、わが国からの利用者数がうなぎ上りで、すでに月間で2百万人を超え、本場米国をしのぐ勢いとのことである。

その背景の一つには、日本のブロードバンド環境が優れているというインフラ面があるに違いないが、もう一つ、忘れてはならないのは、既成のメディアやコンテンツに飽き足らない人々がいかに多いかという証左でもあろう。

このサイトには素人がとったビデオからプロの作品、それにすでに放映されたTV番組、音楽作品など、動画の類は何でもある。そして、付属の検索機能を利用してテーマやミュージシャンの名前等を入力するとリストがたちどころに表示され、フラッシュ形式のビデオで視聴できる。

これらのビデオは一般人からアップロードされたものであり、著作権侵害をしないように一応断り書きがあるが、それはアップロードする個人の良心次第。著作権を無視して違法にアップロードされていると思われる作品も少なくない。TV局などからクレームがあると、その都度削除しているとのことだが、違法掲載と削除は「いたちごっこ」状態で、現在、NHKや民放は困惑しているという。何しろサイトが米国にあるものだから、なかなか思うにまかせない。映像マルチメディアイメージ

最近の著作権問題は、国内だけでなく中国などアジア諸国との間で悩まされていたが、P2Pなどに続く米国発の破壊的潮流である。著作権管理は法的枠組みがそもそも技術進歩に追いつかない代表的な事例なのである。

著作権者の困惑はさておき、このサイト、若者中心に支持されているが、我々シニアが見ても頗るおもしろい。特に素人が作成したビデオやいわゆるインディーズ系の作品は、既存メディアでは見られない豊かな感性や主張が伝わってくる。アクセスの多い作品は、皆それぞれ質が高く、どのTV局も金太郎飴的な番組に占領されている既存メディアにみられない魅力がある。数百万というマスでなく、見る人が世界中の百人あるいはそれ以下の視聴者という極めて少数であっても成り立つメディア。いわゆるロングテールである。

先般、「通信・放送の在り方に関する懇談会」の最終報告書が出されたばかりである。踏み込んだ提言も多いが、従来メディアをぶっ壊す可能性を秘めたメディアが次々と出現する今日、目標とする2011年はすぐ先のようにみえて、実は遅いのかもしれない。