2005年8月15日、今日は戦後60年の節目の日である。当時、赤紙一枚で召集され、国のためにと散っていった悲運の人々は、今の我々を見ることがあったならどう思うだろうか。確かに、目覚しい速度で復興を成し遂げ、物質的には豊かになった。第2の経済大国と言われてからも久しい。一方で、国と地方を合わせた借金は積もり積もって1千兆円という借金大国になってしまった。急速な少子高齢化により、日本の人口は来年を境に、以後は一方的に減少していく、歴史が経験したことのない時代を迎える。一体、我々の未来はどうなるのだろうか。
ITも医療技術も進歩を続けるのは間違いがない。しかし、だからといって我々の生活が真の意味で豊かになるとは限らない。未来は予測しがたい形でやってくるとはドラッカー博士の言葉である。
特に、大きなつけを払わされることになる若い世代には不安感が大きいのだろう。未来に明るい展望が見えなければ、子を産み育てたいと思う人が少なくなるのは当然である。とりわけ、我々には、生涯時間の大半を占める労働や学習の面で少子高齢時代に適した革新が求められている。
男女共同参画型社会という方向も目指すべき方向であるに違いない。その一つのイメージとして3年前の2002年に、厚生労働省の若手職員が3か月かけて議論した結果を物語風にまとめた表題のレポートがある。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/06/s0614-3c.html
厚生労働省の施策を約束したものではないとしているが、現状認識と施策の方向性が垣間見られる。1月ほど以前には、NHKで2日にわたって2020年の未来を描いたドラマを含む討論番組があった。ドラマでは片平なぎさ演じる女性総理、ハイテク看護施設で働くシングルマザー、その期待を一身にうけるけなげな一人娘という設定であった。人口減少は単なる経済問題でなく、個人の価値観、民族や文化といった広範囲に複雑に絡み合う問題であることが認識させられた。今、我々は、過去を振り返り、考え方やライフスタイルを見直すべき峠の時期にさしかかっている。 (8月15日)