港区神谷町にある光明寺というお寺では、無線LANが利用できるオープンスペースがあるそうだ。それも境内の一部で近所から漏れてくる電波を捕まえるというのでなく、本堂とテラスの一部に公衆無線LANのアクセスポイントを設置し、誰でも立ち寄りできる本格的なスペースを提供しているのである。「つながるお寺」とは、無線でつながるという意味に加え、都心のお寺ゆえ、疎遠になりがちな人々とつながりをもちたいというお坊さんの思いが込められているのだろう。このアクセスポイントの紹介http://www.higan.net/kot/ には「お弁当を持ち寄ってみんなで食べてもよし、ノートパソコンを広げて静かに仕事に打ち込むもよし。すてきなBGM、たのしい本や雑誌も用意しています」とある。(下記写真も同ページより)
田舎のお寺と違い、都心のお寺は人とのつながりが希薄である。なぜここにお寺があるのかという問いに窮してしまうことが度々あるという。(お寺でなくともそうなのではあるが。) そのようなことを書き綴っているお坊さんのブログ(坊主松本の徒然日記)がすこぶるおもしろい。http://www.higan.net/mt/archives/cat_aeace.html
古来、お寺は地域共同体の中心的な位置を占めてきた。教育の面でも寺子屋しかりである。それが日々の生活からその存在が希薄になって久しい。
お寺と無線LANの組み合わせにぴんとこない人も多いだろうが、一時の静寂と安らぎを求める現代人のニーズは確実にある。恵まれた自然環境の中で、一時の静寂を味わいながら、集中し、あるいはリフレッシュできるとしたら、一挙両得ではないか。お寺の側も人々との適度な「つながり」があってこその施設なのだろう。 (7月6日)