JR西日本の大事故から1ヶ月余りが経過したが、つい昨日の出来事のように感じられる。事故に遭われた方々はまことにお気の毒であるが、毎日通勤電車で通うサラリーマンも他人事ではないのである。
筆者もその一人であり、小田急で新宿のオフィスまで通勤している。最近、小田急線は複々線化(高架)工事が進んだので所要時間がかなり短縮されている。しかし、そもそも輸送量が限界に達しているから、色々な原因で遅れることが多い。数分の遅れは日常茶飯事、30分程度の遅れは別段珍しいことではない。乗客の方もよくわきまえている。怒ったり、駅員に悪態をついたりする者を見たことがない。大変お行儀がいいのである。無論、怒ってもどうにもなるものでもないのであるが、社内アナウンスが詳しい状況説明をしてくれるから、納得、諦めが早いのかもしれない。社内アナウンスによると遅れの原因も実に様々だ。
(その1)上り電車で新宿の少し手前で数十分間立ち往生。小田原近くで軽トラックが遮断機にはさまれたため下りが止まったとのこと。運行面では上下線がループ状になっているのかダイヤ変更の余地がないのだろう。
(その2)前の電車が踏み切りで犬に接触したので点検のためしばし停止。
(その3)緊急ブザーが鳴る。急病人が出たとのこと。次の駅で無事降りることができたとのアナウンスに車内にそこはかとない安堵感が漂う。
(その4)反対方向の電車内で緊急停止ボタンが押されたとのことで、わが方も停車。いたずらと判明とのこと。これは罰金ものである。
JR事故の影響もあって運行者は万事慎重になっているのは想像に難くない。乗客の方も一分一秒より身の安全が第一と心得ている。とはいえ、大事な用事に遅れて大きな損失を蒙る人もいるだろう。車内ではあわてて携帯電話でオフィスや顧客先に連絡する人、メールをたたく人も少なくない。しかし大半はじっと落ち着いている。どこからでも携帯で連絡がつくようになったこともあるが、案外時間の融通がきく人が多いのかもしれない。さらに進んで、ITを活用すればオフィスでなくても仕事の能率があがるのではないだろうか。 (5月31日)