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    175. 「米国連邦政府機関でのテレワーク」 (4月27日)

米国連邦政府機関でのテレワークの取り組みは苦労しながらも一歩ずつ着実に進んでいるようだ。その契機となったのは2000年に制定された法律(公法106−346)である。この法律は連邦政府機関において、本人が申請し上司が認めればテレワークが実施できるという意味のテレワーク適格者数を毎年25%ずつ増加させることを目標とするという極めて挑戦的な取り組みである。ということは、4年後にあたる本年内には100%になっていなければならないが、それは無論、達成されていない。現時点の達成率は約3分の1に過ぎないという。そこで、今年からはテレワーク導入推進を加速するために、職員がテレワークを選択できない状態になっている機関には制裁金を課すという強行手段がとれるようになったという。

背景は政府機関が集中する首都ワシントン道路渋滞にいらだつ人々イメージでは慢性的な交通渋滞がある。朝晩には、郊外とワシントン中心部とを結ぶ幹線道路は延々数珠繋ぎとなる。そこで、カープールあるいはHOV(High Occupancy Vehicle)と呼ぶ乗り合いを進めるとともに、通勤時間帯にドライバー1人で乗り入れた場合には罰金を課すなどの対策を色々講じているが、まだ足りない。そこで在宅勤務を認めることにすれば、交通渋滞緩和になるし、何より職員のワークライフバランス向上にもなるというのである。9.11の同時多発テロでペンタゴンが攻撃を受けたことから、分散して働くことでテロの危険が減少するとの理屈を言う人もいる。実際にはテロの危険防止より、交通事故にあう確率を減らす効果の方がずっと大きいだろう。在宅勤務であれば、通勤途上の様々な事故に遭遇しなくてすむわけだ。

各機関にはテレワークコーディネーターと呼ばれる担当者が相談に乗ってくれる仕組みを作っている。今では、2百名余りのコーディネーターがいるという。

とはいえ、サラリーマンの働き方はそう簡単に変わらないのは米国も同じらしい。仕事の多くは、週の1日程度であればテレワーク可能になってきたわけであるが、上司が首を縦に振ってくれなければできないのである。米国と違い、わが国では仕事のやり方が違うし、住宅事情も違うから、なおさら容易なことではない。しかし、通勤のために多くの無駄な時間とエネルギーを費やしているのは同じである。3大都市圏では平均して片道1時間、往復で2時間の通勤に明け暮れている。このようなセブンイレブン型の働き方も手伝ってか、少子化がまれにみる速度で進むのも日本。昨今、情報セキュリティ上の問題が大きな心配になっているが、問題があるところには必ず解決策が生まれる。ハードディスクを持たないシンクライアント端末もその一つである。ブロードバンドインフラの面では世界最先端になったわけだから、テレワーク環境面においてもこれにふさわしい端末が早晩出現するに違いない。 (4月27日)