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    174. 「啐啄同機」 (4月27日)

コーチングについてのセミナーで、講師の先生から伺った話である。 中国は宋時代の禅書からの言葉であり、「そったくどうき」と読む。卵が孵化してひなが生まれる時、ひなが中から殻をつついて親鳥に知らせるのが、「啐」であり、親鳥がくちばしで殻を小鳥イメージ破るのが「啄」である。

いくら教える側ががんばっても、教わる側がその準備が出来ていなければ無駄である。 眠っているひなを親鳥は暖めながら、その機をうかがっている。近いなと感じると、嘴で外側からこつこつと叩くという。それを待っていたひなはそれをまねて、こつこつと叩き返してくる。その叩き返しが暫し続いた後、雛鳥は自分の力でカラを割って出てくるのだという。親鳥がくちばしで叩くのが強すぎて外側からカラを破ってしまっては、雛鳥を傷つけたり、ばい菌が入ってしまう。このタイミングと絶妙の力 加減が大事である。

教師と生徒の理想的な関係も同じなのだろう。知識を一方的に詰めこむのではなく、生徒が潜在的に持っている能力を引き出すのが教師の役目である。 教育を意味するeducateのラテン語語源は、引き出すという意味だと聞いたことがあるが、これを行うのはなかなか難しい。つい教える側のペースで、詰め込み型の教育を行ってしまう。 コーチングとは、相手のペースにあわせて、まずは聴くことを主にして「気づき」を誘発するテクニックのようだ。その心は確かに「啐啄同機」であるに違いない。 (4月16日)