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    173. 「離れても近くなる」 (4月8日)

在宅勤務などのテレワークを推進している企業の方から聞いた言葉である。何やら謎めいているが、次のような意味である。

お互い離れていても電子メールなどをうまく使えば、適度な意思疎通がとれるから、同じオフィスにいる時よりかえって近くなったと感じるようになるとのこと。前回、通信は「2番目に良いこと」と書いたが、どっこい、それ以上なのである。電子メールに慣れた人はその感覚がわかるに違いない。オフィスでは、近くにいてもなかなか面と向かって話す時間がなかったり、中途半端な会話に終わったりする。自分では重要と思った指摘でも、相手には左の耳から右の情報通信とビジネスイメージ耳に抜けてしまっていることもある。ことに最近の若者はメールに慣れているから、メールの方が意志を伝えやすいかもしれない。会話と手紙の中間に位置する電子メールの威力である。しかし、これも互いの信頼関係があることが基本である。離れて仕事をするとさぼるのはないかと疑ってかかるようでは成り立たない。

最近、最も有名な日本人の一人になったライブドアの堀江社長もメールを多用している。著書によると、毎日、数千通のメールが届くが、多くは部下からの日報であり、その全てに目を通すという。前線の人間からの日々のメールを読むことで、プロジェクトがどのように動いているか、一人ひとりがどんなアイデアを持っているかがわかるという。部下の方も毎日のことだから、だらだら書きでなく要点のみ簡潔に書くようになるらしい。それでいて、昼飯でどこのレストランが良かったとかの話題も入っているから役立つという。

部下の評価も変わってくる。おとなしそうで何をやっているかわからなかった者も、メールで報告をもらうことで見直すきっかけが生まれる。反対にオフィスで夜遅くまでがんばっていると見ていた者が、逆に見かけ倒しだったのがバレることもある。勿論、通信だけでは駄目であり、面と向かった機会を適度にもつことが必要である。両方をうまく組み合わせると、互いの想像力と信頼関係が増幅される。四六時中、一緒にいるのがいいわけがない。離れても近くなるのである。 (4月8日)