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    171. 「日本テレコムの新オフィス」 (3月22日)

タモリを起用し、レトロ調のテレビCMで「おとくライン」を宣伝している日本テレコムの新本社ビルを先日、見学する機会があった。同社の東京圏営業拠点はこれまで10箇所に分散していたが、去る一月に、これを一箇所に集約して効率化を図ったという。場所は汐留の再開発地区であり、親会社のソフトバンクと同じビルである。このオフィスの設計コンセプトは「Professional and Collaboration」とのことで、社員の知的生産性を高めるとともに、何より楽しく仕事ができるようにデザインしている。オフィス空間全体が屋外の街中を模擬したデザインになっている。社員には固定席はなく、空いている席をみつけて仕事をする、いわゆるフリーアドレス式を全面的に採用している。見学したオープンスペースでは、芝生を模擬した薄緑色のカーペットに、3−4人がけの丸テーブルが点在している。中央には観葉植物が見える。窓際には屋外を眺めて仕事ができるようにカウンター席がある。眼下には浜離宮の庭園が広がり、申し分ない眺望である。フロアの一角には円形の集会場もある。ここでは定期的に社員表彰などを行うとのことで、周囲がスクリーンで囲まれている。都心公園の噴水イメージ

情報通信を売り物にする企業だけあって、社員はみなノートパソコンに向かって仕事をしている。ネットとの接続には無線LANが使われており、電話機は050の番号ではじまるIP電話で、こちらも無線である。このためにケーブル類が少ないからすっきりしている。更に驚いたのは書類が極端に少ないことである。フリーアドレスの執務スペースには、従来オフィスにある書類キャビネットが一切ない。本当にこれで仕事ができるのかとの疑問が沸いたが、やればできるのだろう。移転前に、新オフィスでは書類の保管スペースがないことが通知されており、削減努力がなされたそうである。それでもこれから数ヶ月したらどうなっているか興味がある。

フリーアドレスオフィスはなかなか定着しなかったが、これだけ徹底してやった企業は稀である。若い世代を中心に社員にも概ね好評のようだ。知らない人同士が知り合いになるチャンスが増えるという。男女の交際のきっかけにもなる。田の字型の固定席のオフィスでは「5メーター婚」が多かったが、これからは「フリーアドレス婚」が生まれるのでないか。真新しいオフィスのせいもあるが、社員が明るく生き生きしているように見受けられた。オフィスデザインは社員の「やる気」に大いに影響するに違いない。

通信機能自体では差別化が難しくなった。パソコンもそうである。これからはワークスタイルもアプリケーションとともにセットで売る時代なのかもしれない。 (3月22日)