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    167. 「ブックオフのビジネスモデル」 (1月28日)

古本屋全国チェーンのブックオフが元気である。 日本全国だけでなくニューヨークやロサンゼルス、パリなどにも進出している。本だけでなくCDやDVDは当たり前、一般の中古品まで始めた店もある。インターネットの活用を進めており、こちらは古本、中古品のアマゾンを目指しているようである。

古本屋といえば、本の価値を心得た年季入りの店主が専門書やマニア向けに個性ある店を開いているというイメージがあるが、ブックオフはそれを完全に覆している。店内イメージは広く明るく、コンビニやレンタルビデオ店のそれである。店員もコンビニと同じである。こうしたシステムを可能にしているのはマニュアル化された独自の古本買取システムである。 それは町の古本屋と違って中身を全く考慮しないことである。本の綺麗さ、新しさで5段階(?)で判断するというのである。そこで、店員は1か月もすれば立派に買取の仕事ができるようになる。お客の方もそのシステムがわかっているから、スーパーの袋に詰めた人がひきりなしに訪れる。売値のシステムもおもしろい。どんな本でも3か月間売れないと100円(税込み105円)になってしまう。 そこで中身のわかったマニアはこれを買ってオークションで高値で売っているという。

今やかつての古本屋は古書センターイメージネ ットで全国に広がった個人である。今や本の価値を知らない店と価値がわかった消費者という具合、ビジネスが逆転したわけである。

私どものオフィスの近くにもブックオフが3軒ほどあるから、時々利用する。百円コーナーの中に立派な専門書が並んでいることもあり、著者に申し訳ないと思いつつ十冊程度まとめて買ってくることもある。これだから出版業界が苦しいのがわかるが、逆の見方もある。図書館と同じで、底辺を増やすという効果だ。本が好きになり、同じ著者が書いた本はどうしても手元においておきたくなると、新刊本を買うというものである。

かつて本は所有することにそれなりの意味があったが今や、本でさえストックからフローの時代になってしまった。電子書籍もある。何より問題は場所をとることであり、最も怖いのは地震である。専門家からきいた話だが、本棚は2階にある家が多いからトップヘビーの構造になるという。 下が重く上が軽ければ揺れても大丈夫だが、その逆では横倒しになる危険が大きくなる。特に多くの蔵書を2階に溜め込んでいる家が危ないとのこと。家の倒壊はなくても本棚が倒れて怪我をすることもある。そこで読まない本は捨てるに限るが、今はブックオフという手があるわけだ。 (1月28日)