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    163. 「好きなだけ働くことのできる自由」 (12月24日)

わが国の労基法は劣悪な環境下で長時間労働に強いられてきた工場労働者を保護する目的に端を発しているので、知的作業が増加し個人が多様な価値観を持つようになった今日ではしっくりしない部分が少なくない。時間管理面はその一つであろう。ただし、改正につぐ改正により、業務内容に合わせて弾力的な時間管理の方法が選択できるようにはなっている。フレックスタイム、裁量労働制などがそれである。しかし、これらの制度の導入率は企業全体の数%から10%程度と極めて低いレベルに留まっている。集団で仕事をするのを好む日本人には適さないとの見方もあるが、依然として時間管理の枠内にあり煩雑な手続きが難点となっている。そこで、例えば特定の職務につく被雇用者については、本人が納得すると立って背伸びするビジネスマンともに企業が健康管理等について一定の配慮をする場合には、労基法の時間管理の対象から外す、いわゆるホワイトカラーエグゼンプション(適用除外)の拡大について雇用者側からの要望がある。一方、労働界はそもそもサービス残業の実態があるのに更なる労働強化につながるとの慎重意見が多いようだ。

そうした慎重意見はわからなくはない。しかし、思う存分働きたいという人たちには足かせになっている面があるのではないか。人生のある時期に仕事に没頭できることは幸せなことであるのに、それをさせてくれないのは不合理ともいえる。勿論、理屈のうえではそうした働き方を選ぶことは可能である。一般企業に勤めるのをやめて、個人事業主になるとか起業して請負契約のような形で仕事をするという手はある。しかし多くの若者にとっては、企業に勤めることで能力を高めるのが普通である。ソフト開発や研究開発などの仕事では創造力や体力が勝負である。20代から30代前半までがその後の仕事人生の基礎となる大切な時期である。この時期に思い切り働くことができる環境を整えることは人材こそが最大の資源であるわが国にとって極めて重 要である。米国で韓国や中国の若者たちが目の色をかえて働く姿を見ることがあったが、それと比較して日本の若者は「黄金の時期」を無駄にしている割合が多いのではないか。個人の意識や努力の問題もあるが、企業の雇用や法律面にも改善の余地がある。まとめて働きまとめて休暇をとるというライフスタイルは若者たちをひきつけるだけでなく、レジャー産業をはじめとする好ましい効果を生むことだろう。 (12月24日)