シンクライアント端末とは、Thin Client、すなわち機能を簡易化したクライアントのことである。クライアントが高機能になるにしたがい、ソフトのバージョンアップや保守等に多大なコストを要するようになったことから、サーバークライアント型システムのアンチテーゼとして提起されたものである。その特徴はハードディスクやフロッピーなどの記憶装置を持たないことにある。シンクライアント端末を大別すると、使用するたびにサーバーからOSやアプリケーションソフトウエアをネットワーク経由でダウンロードする形式のものと、アプリケーションを含む全ての処理をサー バー側で行い、端末は単に表示機能しか持たないいわゆるダム端として機能するものの2つがあるようだ。
利点はハードディスクを持たないので故障が少なくてすむこと、ソフトのバージョンアップがサーバー側のみのためPC管理の手間がかからないことがある。 加えて、近年、最も重要と思うのは情報セキュリティの問題が少ないことである。 クライアントPCのウイルス対策は企業の担当者にとって非常に頭が痛いが、シンクライアントではそもそもクライアント側にプログラムやファイルを持たないから、その心配がない。サーバー側だけをしっかりガードすればいい。それにPCの盗難やうっかり置き忘れによって起きる情報漏えいの被害を避けることができる。問題はサーバー側の負荷、高速のネットワーク、それと端末の普及である。 現在、PCのユーザの多くは簡単な文書処理等に利用しているので、1台のサーバーで同時に多数の端末の面倒をみることができる。 ネットワークについてもFTTHの時代になったので、ある程度解決見込みがついてきた。端末の方も機能を落とすのであるから大量に利用されるのであれば廉価になるだろう。 しかし、どこまでの処理をサーバーでやり、残りを端末でやるかというのはやはりユーザ側の利用環境によって違う。そこで、色々なバリエーションが出てくるのは仕方がない。 (11月12日)