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    151. 「ベルギーの試み」 (9月8日)

仕事と家庭、それに社会参加や再教育を含め、長くなった人生の各段階に応じて個人の時間配分が柔軟に選択できる社会が望まれる。しかし、わが国では残念ながらこのような方向に進む気配は一向に見られない。それどころか最近は年間労働時間が長くなり、年休取得率も低下の傾向が見られる。国際競争が激しくなり、商品サイクルが短くなったから企業は生き残りに必死である。景気回復の影響で人手が足りないという面もある。このように年休取得さえままならないから、ボランティア休暇、教育訓練休暇、リフレッシュ休暇など一時期はやった目的別の休暇制度などは、近年は話題にも登らなくなった。

そんなおり、JIL(日本労働政策研究・研修機構)の月刊誌を見ていたら、「ベルギーのタイムクレジット制度の試み」(立命館大学の前田信彦助教授)という記事が目にとまった。

ベルギーには、仕事と生活の調和を図る制度として、以前よりあったキャリアブレイク(中断)制度を改訂し、2002年から民間企業に適用するようにしたものである。

人生の各段階で、仕事を一休みし、長期の休暇を取得したくなる理由は人によって異なっている。育児や介護はもとより、学校教育や職業訓練の目的で取得したい人も多い。子供がいない人には後者の要望が強い。そこでこの制度では、長期休暇の取得希望者が全従業員の一定割合(5%)以内までは、理由は問わずに取得でき、休業中の手当てが支給3世代家族イメージされる。5%を超える場合には、取得理由の優先順位(概ね、介護、育児、高齢労働者、職業訓練の順)にしたがって決定される。 これとは別に育児・介護休業制度がある。随分進んでいるとの印象を持ったが、わが国ではまずは出産育児支援だから同じような制度の早期実現はなかなか難しいだろう。

そこで自腹を切ってでも勉強したいと思う人は、みすみす切り捨てている有給休暇を大きな顔をして取得するのが手っ取り早い。 前回書いたように、会社の通勤に明け暮れる日々では得がたい経験が得られるから、企業も大いに奨励できる。 教育訓練の補助制度が整っている会社もあるから、そうした制度を活用するのもいい。 (9月8日)