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    147. 「(閑話休題)待ったなしのプロ野球改革」 (8月12日)

プロ野球の人気が落ち目である。追い討ちをかけているのがリーグ再編騒動だ。

熱狂的とまではいわないが、生まれてこのかたプロ野球ファンであった者には何とも気がかりである。 政治介入も始まる気配だが、問題の本質はファンから離れてしまったことにある。 プロ野球を1つのビジネスとしてみると、構造的問題や戦略の失敗が見える。 収入が伸びないのに人件費は青天井だし、経営はジャイアンツ人気とTV収入にのみ依存してきた。

少子高齢化の影響もあるかもしれない。 野球に興味を持ち始める子供の数は団塊世代時代の半分になってしまった。 おかげで少年野球でもチームを作るのに苦労している。 他方、サッカーなど野球少年イメージの色々なスポーツの人気が高まったので、野球はオンリーワンでなくなって久しい。 世はおしなべて多様化、個性化の時代なのである。 しかし、サッカーも1チーム11人という大世帯であるし、ファンの数の面でも少子化の影響は同じはずである。 それなのにどうしてこうも違うのか。

原因の一つは世間で言われるように、フランチャイズ制にあるに違いない。 「おらが町のチーム」を地元ファンが応援するという構造がサッカーにある。 残念ながらプロ野球は、移り気な大都市ファンと、黙っていても高額の放映料が入るTV中継に頼りすぎ、地道な市場開拓を怠ってきた。 地域に根ざしたという意味では、春夏の高校野球大会という貴重な財産を持ちながら、これを生かしていない。

また、サッカーでは下位リーグと入れ替えがあるのも変化と刺激を与えている。 現在、議論の中心になっている1リーグでも2リーグでもどちらでもよいのである。 1リーグではオールスターや日本シリーズがなくなるという人が多いが、サッカーは1リーグである。 オールスターは東西対抗をやればいいし、年間2シーズン制、あるいは上位2チームでのプレーオフという手もある。

しかし所詮、オールスターも日本シリーズも刺身のつまに過ぎない。 本シーズンをおもしろくするには、サッカーと同じように2部、3部リーグを作ることで全国にフランチャイズを増やし、入れ替え制にすることである。 その選手の候補は、高校球児を見るにつけ大勢いるのではないか。 プロ野球の選手の中でも12球団の一軍は狭き門であるから、長年、2軍のまま恵まれない選手は多い。こうした選手たちを集めて地方にチームを作り、いつか強くなって1軍に上がる夢を作ることだってあるかもしれない。 すでに全国には立派な野球場があるから、各都道府県に1つの球団を持つことだって可能だろう。 インターネットの時代だからそれをライブ中継することは容易である。 これに反対するのは既得権益に固執する抵抗勢力なのではないか。 2リーグ制を主張している球団も、ジャイアンツ人気にすがりたいという思惑ばかりで新たな展望が見えない。

グローバル性という点でもサッカーと決定的に違う。 ワールドカップ、アジアカップを見ていてつくづくそう思う。 これだけ地球が小さくなったのだから、交流試合やアジアカップがあっていい。 国民投票とまでは言わないが、ファンの意見をもっと聞いてほしい。 参議院がなくなって一院制になっても一向に構わないが、プロ野球がなくなると大いに失望する日本国民は多いのだ。 (8月12日)