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    144. 「やりたい個人、やらせたくない企業」 (7月23日)

最近、厚生労働省が行った調査では、育児や介護の負担をかかえる社員の約3分の2が、短時間勤務や在宅勤務といった多様な就業形態を希望しているとのこと。 一方、企業側は、必要性をある程度認めながらもこれらの勤務を認めている、あるいは認める意向がある割合は少数にとどまっている。

夜更けに仕事する在宅勤務者イメージその理由として「顧客等の外部への対応に支障がでる」「他の社員とのコミュニケーション」などの仕事の進め方や「賃金の減少」などの処遇面での問題点があがっている。

しかしながら、近年、スキルのある従業員を維持確保するために多様な就業形態を選択できるように準備しておく必要がでてきた。 また、「次世代育成支援対策推進法」によって策定が義務づけられた行動計画においても、「多様な労働条件の整備」への取り組みが推奨されている。 その際、短時間勤務や在宅勤務は有力な選択肢なのであるが、調査結果に見られるようにもう一つ使いにくい制度のようだ。

そこで一つの提案である。 短時間勤務と在宅勤務を別物と考えているが、両者を組み合わせることで両者の制度の相互補完を図ったらどうだろうか。 なぜなら、短時間勤務は非効率な面がある。 現在、首都圏での企業勤務者の通勤時間の平均は片道1時間であるから、たとえば半日勤務のために平均2時間の通勤時間を費やすというのは大変効率が悪い。 それにたとえ半日であっても、育児や介護の負担を抱える者にはその時間帯の面倒をみる人や施設を探す必要に迫られるだろう。

一方、在宅勤務の問題点は、仕事の配分や目標設定が難しいということがある。つまり通常のフルタイム勤務を前提とした場合の課題である。 在宅勤務では長時間労働になりがちであり、仕事と生活の切り分けが難しくなるという問題点もある。

そこで、仕事の負荷を緩和する、あるいは在宅勤務がより適した別の部門に異動させたうえで短時間の在宅勤務を可能にするのである。

近年、顧客からの受付やパソコンの設定支援などの顧客サポートを在宅オペレーターが行う会社の事例が日本でも出始めている。 そこでは中央でのコールの振り分け機能に加えて、在宅オペレーターに対する各種の支援、例えば、対応に窮した場合の指導や、場合によっては代わって対応するというような運用を組み合わせている。 光アクセスのブロードバンドインターネットが普及すると、オペレーターと顧客の双方が同じ画面を見ながら、きめ細かい相談ができるようになる。 そこで、対面でないと無理と思われていた商品の販売やサービス提供も可能になるに違いない。 米国では秘書業務でさえ、在宅で行わせている企業もあるというから、新しい勤務形態を組み合わせてサービス開発することは有望なのではなかろうか。 (7月23日)