少子化が止まらないことから、政府も対策に乗り出した。 昨年度成立した表記の法律により、企業や自治体は安心して子供を産み育てることができる環境作りが義務付けられ、従業員が3百人を超える企業は「行動計画」なるものの策定が必要になった。
人事や総務部門では戸惑っている担当者が多いのではないか。こ の行動計画には育児に携わる労働者だけでなく、全社員に関係する措置として多様な働き方についての取り組みがある。 確かに、会社の中に、出産や育児の対象者をサポートするのが当然という雰囲気があってはじめて、対象者は安心して育児休職等を取得できるようになるだろう。
後者については非効率な労働や長時間労働を改善するための取り組みの例として、ノー残業デー、年休取得の奨励、短時間労働、それにテレワークがあげられている。 このうち、年休取得率が低いことはわが国独特の習慣であり、過去何十年と言われてきてはいるが、一向に改善されない。 会社の取り組みが悪い、あるいは個人の意識が低いのかというよりも、もはや単に休みが増えてもどうしたらいいかという気持ちがあるのだろう。
それより、ITを活用した柔軟な働き方の方が個人にとっても企業にとっても魅力的なのではないか。 それによって通勤時間を削減ができるし、非効率な会議などに煩わされることも減るのである。 同時にITや知識の活用能力、マネジメント能力が自然に高まる効果もある。
ただし、育児や介護などの家庭生活と仕事との切り分けはしっかりやらなければならない。中途半端では健康安全や情報セキュリティ不安が増大するからだ。 業務管理、時間管理、健康管理、それに情報セキュリティなど、事前準備が必要なことは色々ある。 しかし、世はIT化の時代、そして生活者の時代である。 いち早くその時流に対応する企業が「選ばれる企業」になりそうだ。 この法律には認定マークもあるとのこと。 「うちの商品やサービスにつけるようなマークでもないか」と言わずに考えてみることだ。優秀な社員を採用するのに有効なマークになるかもしれない。 お上から言われたので仕方なくではなく、これを機に企業革新を考えるべきではないだろうか。 (7月1日)