文芸春秋の最新号(7月号)に掲載されている、東北大学の川島教授と和田秀樹さんの対談での言葉である。
体もそうであるが、頭脳も機械と同じく、使わないと機能低下が進む。 何でも前頭葉の前頭前野という部分が大脳のコントロールタワーの働きをしているが、その機能を維持するには「読み書き計算」がいいとのこと。 毎日、5分間づつでもこれをやると、痴呆になるのが2−3年は遅れるとのデータがあるらしい。わが国では老人になると、万事、控えめで地味にするのがよろしいとする習慣があり、周囲も大事にする余り、老人ボケがはじまると家に閉じこめてしまうが、かえってこれがいけないとのこと。
そこで川島教授は、70歳になったら、近くの学校に通い直して、「読み書き算盤」ならぬ「読み書き計算」をやってもらうのを義務にして、同時に地域の子供たちとも交流するように提唱しているそうである。 頭の固い役人にはなかなかわかってもらえないらしいが、それでも空き教室を使った試みを始めているとのことで大いに期待がもてる話だ。
先日は、特殊出生率がついに1.3を割ったとの報道があり、年金制度も早晩、「砂上の楼閣」になるとの懸念が広がっている。 介護制度も同じである。 実は介護制度の本質的な問題点は、要介護のランクは良い方向に向かうことは稀で、年がたつにつれ重度ランクに順次移行するから、税金負担がますます増加することになるという話をきいた。 今後は、体も頭も自助努力で常日頃鍛えるのが、「国民の義務」になるのである。
(6月12日)