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    134. 「自分の席がなくなる」 (5月8日)

5月6日、NHKニュース10での話題である。

ひとつは富士通の新オフィスビル、4千人のSEが働くビルだが、個人席はない、いわゆるフリーアドレス(ノンテリトリアルともいう)である。 出勤すると、個人用ロッカーから、PCと電話機をとりだし、どこでも好きな場所に座って、PCをコンセントにつなぎ仕事をする。もう一つは、外資系製薬会社のデートベーリング。 この会社は、3か月に一度、くじ引きで席替えをしている。 課長も社長もこのくじ引きに参加する。紙の山に埋まる机イメージ

社長によると社内のコミュニケーションを高め、風通しをよくする効果があるという。 若い人たちも同じような感想を述べていた。 だだし、どこの会社でもできるわけではない。 第一には、机の周囲にうずたかく資料が積まれているような状態では無理である。

上司はいいと思っても、若い社員たちの意識はどうだろうか。 課長や部長に隣に座られたらたまらない、いや、セクハラが怖いというOLもいるかもしれない。

席替えとは小学校の頃の思い出である。あの子の隣だったらいいなという淡い期待感を持ったのはのは誰しも同じだろう。 逆に、期待に反して嫌なやつが近くに来てしまった場合には、半年、いや3ヶ月の辛抱である。

ところで、この会社はテレワークを積極活用することを企業戦略の一部にしている。 顧客や取引先に出向いて専門的な説明を行う機会が多い営業マンには、そもそも決まったオフィスがない。 自宅やマイカーからメールなどで上司や同僚に連絡をとる。 取引先や顧客に直行直帰できるから、無駄な時間やコストが省ける。 そうはいっても、すべてITというわけにはいかない。月に一度の飲み会が重要とのこと。

これらの例をみるように近年、オフィスの役割が大きく変わってきた。 物理的なオフィスは、個人が自席にむかって各自の仕事に集中するより、会議や共同作業(コラボレーション)の場としての価値が高くなった。 情報セキュリティの面でも、個人でしかわからない情報を極力減らして、一定期間の後に席替えでガラガラポンするのは管理や相互チェックの面で優れている。席替えといい、ロッカーに自分の荷物をしまって机の上を片付けておくことといい、これらかの会社は学校のようになるということだろう。(5月29日)