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    126. 「ガロアの生涯」

以前、義務教育は小学校のみでいいと書いたが、その方が子供の才能を自由に伸ばしてやれる可能性が大きいという趣旨である。

子供たちが好きなことに没頭するときのエネルギーは信じられないものがある。 逆に性に合わないことをやらした時の悪態はしばしば手に負えないが。 枠がなくなって自由なカリキュラムの学校が多くできるといい。できるだけ、個々人の能力を最大限に引き出すような教育をすべきなのである。 教育を意味するEDUCATEの語源はラテン語の(才能を)引き出すにあることは有名である。数学者が思考するイメージ

天才数学者のガロアでさえ高校の試験に2度落ちているという。 彼にとっては学校の授業は全く退屈で我慢がならなかった。  このガロアは、当時、数百年間にわたって解けなかった難問についての答えを十代のうちに発見してしまう。 5次方程式以上の次数の方程式は代数的に非可解であることを証明するという問題である。 中学校の教科書に出ているように、2次方程式には解の公式というのがある。 このような公式は4次方程式でまではあるが、5次以上の方程式ではないらしいことはわかっていたが、この「不可能」を証明したのである。

イラクでの大量破壊兵器に限らず、ないということを示すのは大変なことなのである。 それには、ガロア体などの全く新しい体系の数学を構成することによって可能になった。 この数学は、誤り訂正符号などにおいて今日のディジタル通信での基礎を構成している。 しかし、この「ガロアの理論」は、当時の数学界の常識からは余りにかけ離れたものであったため、一流の数学者からは理解不能とされて全く評価されなかった。 加えて提出論文が紛失するという不幸に会う。  加えて、時はフランス革命の余韻がさめやらぬ時代、ガロアは次第に政治活動にのめりこんでいく。

そして些細ないさかいの結果、わずか21歳の生涯を終えることになる。 友人に「もう時間がない」と書き残して決闘場に向かったのである。 その数時間前まで取り組んでいた数学メモは、その後、長きにわたって世の数学者たちを多忙にさせることになったといわれている。

(1月18日)