「学習する組織」と訳される米国生まれの言葉である。 組織を構成する個々人の創造性やコミットメントを高め、
これを結集することによりチームや組織全体の力を高めることをいう。 個人知や暗黙知を組織知や形式知に変換するというナレッジマネジメントはその方法論ともいえるだろう。 なかなか優れた概念のように聞こえるが、なんということはない。 裏を返せばこれまでの米国企業は学習機能がない組織だったと言っているのである。
米国では労働市場のモビリティが高いから、個人はキャリアアップのため会社を辞めてしまう。 自分で覚えたことを部下や同僚に進んで教えることによって組織的な知識とするという習慣がない。 教えることで人を育てることは、自分にとって替わる者を作るという危険でもある。 一方、日本は終身雇用/>型であり、企業が「家」のようなな存在たから、自分が覚えたことを教え合う習慣がある。 つまり、日本の会社にはLearning
Organizationの機能が備わっているのである。
知恵や知識、そのもとになる人材が企業の命運を制する世の中になって、米国企業はチームワークを力とする日本型経営の良さに気がついた。 一方、日本人は桂離宮や浮世絵に見るごとく、他人から言われるまで自らの文化や伝統の素晴しさに気がつかない。経営者が意識してやろうとしたわけではなく、ボトムアップであることも影響している。 米国の優れたところは、この日本型の企業文化をシステム化し企業戦略として位置づけたところにある。 eラーニングはまさにこの目的に適している。 ディジタル化によって企業戦略として必要な知識やスキルを組織内に効率的に蓄積共有するのである。
黙っていても人が育ちノウハウが継承されたわが国の終身雇用システムは、経済のグローバル化の中で維持することが難かしくなった。 また、個人に頼った悠長な人材育成では米国流の経営スピードに勝てなくなった。 今度は米国が得意とするシステム工学的なアプローチを活用したLearning
Organizationについて学ぶ必要があるだろう。 (8月25日)