米国企業のマネジメントで頭が痛いのは、仕事がよくできる人間から辞めていくことである。 そこで企業の大小を問わず、年がら年中、従業員の採用を行っている。 良い人材を、しかも長く働いてくれそうな人を採用したいのはやまやまだが、これが結構難しい。
選考は、書類選考と面接の2段階で行われるのはどこでも同じ。 難しいのは面接である。 志願者は面接の経験豊富で、子供の頃から自分を売り込む術を鍛えている。 そこで実力を見抜くために、わが国企業の採用面接のように、変化球を織り交ぜた質問をしたいところだ。 しかし、これは要注意、というより危険である。 米国では、採用にあたって職務遂行能力と関係ない人種、性別、年齢、家族構成などで差別することは法律で固く禁じられているからだ。 差別されたとして訴えられることはよくある。
場の雰囲気を和らげようと、家族についての質問をしたり、出身を尋ねたりするのはアウトである。 また、日本では当たり前である志願票に写真貼付を求めるのもいけない。 してはいけないことが非常に多いのである。 ただし、雇った後で、管理のためにこれらを記入提出させるのは構わない。 そこで採用後、びっくりということも少なくない。 たとえば年齢や家族構成。 日本人でも年齢不詳というのはよくあるが、人種のるつぼである米国人の場合、更にわからない。 勿論、仕事ができれば、これらは無関係なのではあるが。(8月20日)