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    91. 「サテライトオフィスはなぜ失敗したか」

1980年代の後半、日本でも「サテライトオフィス」と呼ばれる職住接近型オフィスの実験が各地で行われた。

高度成長で給料はあがったが、物価もあがり、それ以上に地価が高騰したから、自宅はますますオフィスから遠くなってしまった。 そんな時にあらわれたサテライトオフィスはまさに時代を先取りした先駆的試みであった。 アルビントフラーの「第三の波」にも描かれているエレクトリックコテージが実現する日も近いようにも思われた。 しかし、バブル経済がはじけるのと時を同じくして、閉鎖するところが相次ぎ、サテライトオフィスが広く普及するには至らなかった。 専門家によると、その失敗には次のような原因があったと考えられている。サテライトオフィスイメージ

第一に、社員の福利厚生の面が強調されすぎたこと
第二に、コストがかかったこと
第三に、規模が小さかったこと

バブルがはじけると、社員の福利政策を見直す空気におされて、「ゆとり」はどこかに吹っ飛んでしまった。 情報通信インフラが不十分であり、ベースオフィスをそのままでサテライトオフィスを設置するのは2重投資になりコストがかかった。 加えて規模が小さいことは会社で本気にならないから、決定的であった。 テレワーカは社内で極めて少数派であるから、組織立った支援を受けるどころか、孤立する結果となった。

つまるところ企業には導入の必然性が少なかったのである。 あるいは時期が早すぎたともいえる。 いかに優れたビジネスモデルであっても、それを受け入れる周りの環境が熟していなければ成功しない。

さて、その当時と比べると現在の環境は大きく変化している。 生き残りのためには一人ひとりの労働生産性をあげ、マネジメントスタイルも変える企業革新が必要になった。 そして、情報通信が飛躍的に進歩した。 当時はインターネットもモバイルもなかったのである。 (8月18日)