最近、「マイナリティレポート」というSF映画をレンタルビデオで見た。 舞台は今から50年先の米国であり、どこかで起きつつある殺人事件を予知することで犯罪を未然に防ぐことがテーマになっている。 それには特殊な予知能力をもった人間の脳内イメージを外部に取り出す技術(?)が使われている。
50年後の世の中であるから、この映画には未来の街や乗り物などが色々出てくる。 個人を瞬時に識別する技術もストーリー展開に重要な役割を果たしている。 電車の改札やビルのセキュリティチェックもいわゆるバイオメトリックの一つである眼の虹彩情報による個人認証が行なわれている。 また、町を歩いているとショーウインドーが各人に個人の属性にあわせた宣伝文句を語りかけてくる。ワンツーワンマーケティングである。
しかし、マイナリティレポートの世界は全編がブルーやグレーの色調で、人間の居場所から行動までが監視される世界であるから何だか暗澹たる気分にさせられる。 これが世に言うユビキタスのいきつく社会であってほしくない。 ユビキタスはもっと明るく人に優しいものでなくてはならない。
個人情報やプライバシー保護の議論が神経過敏で行き過ぎるのはまずいが、居場所の特定や、個人属性の利用については、その個人側に選択権があるべきである。 勝手に利用されて、目にみえないところで監視されコントロールされるという危険を防ぐだけでなく、 誰でも時には、都会の雑踏に紛れたい、ネットで繋がれた日常から離れたいという気持ちはあるものだからだ。 (8月6日)