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    84. 「情報いじり」

毎朝定時に出勤し、どっぷり夜が更けてから帰宅するというサラリーマンの歴史が始まったのはいつのことだろう。 余りに慣れきっているので有史以来のことのような気がするが、当然ながらそうではない。 自宅から遠く離れたオフィスや工場に働きに出るという歴史は意外に浅く、産業革命以後のことである。 それ以前は農業にしても狩猟にしても、自分の住まいの近くで一人あるいは少数の仲間と仕事をするのが普通だった。 産業革命後になって、工場での大量生産や大企業システムが広まり、人々の都市への集中が始まったのである。

それが加速したのは、20世紀後半になってからである。 ほんの半世紀前には、わが国の全労働者に占めるサラリーマンの比率は3割足らずだった。 農業や商店などの自営業の方が多数だったのである。 今や、その比率は逆転し、サラリーマンの割合は7割から8割になっている。 20世紀後半は、まさに「サラリーマンの半世紀」だったといえるだろう。  しかし、80年代後半から始まった情報通信革命により、雇用や就労の形態にも変化が始まろうとしている耕運機で田を耕す人イメージ

無形の情報や知識が価値をもつようになった世の中では、どこで何時間働くというよりも、どのような価値を生み出すかが決定的に重要になってきた。 テレワークのコンサルタントであるギルゴードン氏は、産業革命によって、住まいの近くでの「土いじり」が、遠く離れた工場やオフィスでの「機械いじり」や「紙いじり」にとってかわったが、今や情報通信革命によって、多様な場所での「情報いじり」の時代になったと言っている。

インターネットやケータイの普及がはじまってから未だ十年に満たない。 その影響で世界経済から我々の生活まで大きく変わった。 両者とも進化途上であり、今後も、予想できないような大きな変化をもたらすに違いない。 近い将来、毎日通勤という習慣や雇用の形態も大きく変わるのではないだろうか。

(7月30日)