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    77. 「京都のだらだら坂」

日本人のノーベル賞受賞者には京都大学や京都の出身者が多い。 以前、とあるNHKのテレビ番組は、その理由について街の機能や研究者の日常生活との関係から分析していた。 ことに若い研究者たちが指導教授の研究態度や生き方に日々接するうちに次第に感化され、いつのまにかその伝統を引き継いでいく風土があるという。 これには、分野の異なった研究者が自然に集まり議論をかわすことのできる場所が随所にあるというのが強みのようである。

東京と違い、大学からそれほど遠くない場所に住居を構えられるのも研究には適している。 有機化学の実験などでは、結果が得られるまでに長時間がかかるから、実験が深夜に及ぶことは少なくない。 そこで職住(学住?)接近というのはこうした研究者にとって非常に有利である。 また、研究者同士が大学からの帰り道に近くの酒場で、終電を心配せずに飲んでいられる。 酒場でのコミュニケーションも学者の知的好奇心を刺激して、新たな発見を生み出す源にもなるようだ。 自然科学と人文・社会科学という専門分野の全く異なる人間同士がくつろいだ雰囲気で自由に議論をかわすことができる場所が京都には多い。平等院鳳凰堂イメージ

散策に適した小径も大学街にとって大きな財産である。 京都には、こうした散歩路にも恵まれている。 ことに坂道が多いのが思索によいという話もあった。 だらだら坂を登っていく時に、新しいアイデアが生まれることが少なくないとのことである。 多少のエネルギーを使って周囲の風景を楽しみながら、頬に少しばかりの風を受けながら、ゆっくりと歩を進めている時に、創知をつかさどる大脳が大いに刺激を受けるのであろう。

(7月11日)