わが国を代表する企業であるトヨタ自動車が、人材活用や労働形態の多様化を重視するダイバシティプログラムに真剣に取り組んでいる。 きっかけは、張社長の海外現地法人での経験にあるようだ。 米国の生産拠点では、女性が多く、様々な人種が協力して働いている。 在宅勤務や短時間勤務もあり、このような労働の多様性が生産性向上の源泉と気づいたとのことである。さすが、グローバル企業であるが、本当のところは、海外の生産拠点では当たり前のことを日本だけが例外と言っていられなくなったということかもしれない
1989年に採用をはじめた女性総合職は立派な戦力となったが、出産や育児の年齢を迎えている。 社内制度を整えなければ、優秀な人材を逃すことになりかねない。 トヨタでは現在、女性は10%程度という男社会であるが、少子化のなかで女性の比率を高める必要もあるのであろう。 車という商品自体、生活必需品となり、ユーザとしての女性の意見が重要になった。 そこで製品開発にも女性や高齢者の視点がますます大事になるに違いない。
トヨタは、今回、本社の敷地内にある社員寮を改装して託児所を設置する。 25人収容というから、わが国企業では例をみない規模である。 また、育児休職期間の延長や、部分的な在宅勤務や勤務時間の短縮を認めるなど、育児期間中の働き方についての選択肢も増やしたとのこと。
トヨタのようなチャンピオン企業が先頭を切って取り組みを進める意義は大きい。 健常な男子のみがセブンイレブンで働くわが国のカイシャがダイバシティプログラムをとりいれることによって、まさに多様な形に生まれ変わるきっかけになるかもしれない。 (7月4日)