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    71. 「地方の活性化」

ネットで何でもできるようになると、辺鄙な片田舎でも仕事ができるのではないか。 そこで前世紀後半に加速した東京への一極集中が是正されるという期待が生まれる。 しかし、現実にはいくつかの障害があり、生易しいことではない。 過去には新幹線や高速道路の例がある。 大都市が近くになるので活性化につながると期待して地方は積極的な誘致に動いたが、反対に地元商業の空洞化と大都市への一極集中が加速されたという苦い経験があった。 地方分権が叫ばれて久しいが、交付金や補助金に頼る地方行政のあり方は一向に改善されていない。

国家財政が危機に瀕している今日、地方の自立は少子高齢化と並ぶわが国最大の課題である。 高度成長時代のハコモノ行政ではうまくいかないのは明白。 車がたまにしか通らない高速道路を建設し続けることは次世代へのツケを増やすだけである。 これから必要なのは、税制改革や特区政策などを通じて地方の権限を大幅に増やし、持続的発展が可能になる産業立地や雇用創出に違いない。田舎の風景イメージ

少子高齢化によって、家庭は長男か長女ばかりの世帯が多くなった。 立身出世のためにこぞって都に目指すという時代でもなくなった。 故郷に適当な働き口があれば、都会より豊かで充実した生活ができる世の中になったのである。 その際、情報通信、特に、高速インターネットの普及が地方活性化に果たす役割は大きい。 大都市の情報を受け取る一方だった放送と異なり、それこそ居ながらにして世界の片隅の情報までも入手し、自分の趣味嗜好にあったコミュニティに参加できるのである。 おっと、少々言い過ぎか。 より正確には、情報ハイウエイともいえるブロードバンド通信インフラが全国どこでも利用できるようになってはじめて、こうした社会が実現されるというべきである。 この情報ハイウエイは新幹線や高速道路と異なり、都市部から地方への分散という効果をもたらすであろう。

すでに商品の購入においては、書籍などの特定の物品はネット上の店舗にて全国どこからでも同じ条件で入手できるようになった。 それには、宅配便という物流システムがあっての話であり、道路の必要性を否定するものではないが、道路を1車線減らしても情報ハイウエイを1車線増やす方が、圧倒的に大きな地方経済への波及効果をもたらすに違いない。(6月27日)