先日、長野県の伊那市で開かれたブロードバンドフェアに参加した。 http://www.iin.jp/index.html
フェアの内容もさることながら、自然や環境の素晴らしいこと。 水田も周囲の山々もマージャンではないが緑一色、遠くの山の頂には万年雪が見える。 小学校の校門の脇を通ったおり、理科の授業であろうか、大勢の生徒が校門脇の田んぼの周りで草花を観察していた。 子供たちの明るく元気な様子をみると何故かほっとする。 家の構えは首都圏と違いゆったりとしている。人間も柔和で同じくゆったり。
そうはいっても、どうしてITの先進地でもある。 わが国でのADSL発祥の地アナログ電話回線でのADSLの本格的な実証実験はここ伊那市の有線放送システムで行なわれたのがわが国では最初のようである。いわばADSL発祥の地なのである。 ADSL回線がすでに700万を越えた現在からみると隔世の感があるが、実験が行なわれたのは1997年というからほんの6年前に過ぎない。
ブロードバンドはこのように急速に普及したのだが、われわれのライフスタイルの変化はどうだろうか。 相変わらず都市それも東京への一極集中の傾向が続いている。 これは日本だけの特異な状況のようである。 米国では、合衆国の国名のとおり、もともと分散化や分権化が進んでいたが、IT化によって更に顕著になっているようだ。 ニューヨーク圏が米国経済全体に占める比率は低下しているし、シリコンバレー、アトランタ、ボストン周辺など新興地域の隆盛がめだつ。
欧州もしかり。パリの経済的地位が低下しているという。 一方、北欧の片田舎であったフィンランドがすこぶる元気である。 10年前は地方の小さなパルプ製造会社であったノキアが携帯電話の世界シェアでトップを誇る。 進出国の数はマクドナルドより多いとのこと。
IT化によって時間や距離を超越できるようになったのだから、何も都会にのみしがみつくのは時代遅れである。 昔と違って、モノも文化も都会とほとんど変わらない体験ができる。 それに都会の空気に触れてみたければ、日帰りもできるのである。 ケータイとブロードバンドでバーチャルな会社組織も夢ではなくなった。 21世紀は地域や自然と共生した暮らしができる時代になればいい。 伊那の町を歩いてそう思った。 (6月18日)