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    65. 「スマイル」

米国人はスマイルが上手である。  たとえ見知らぬ人であっても、にこっと微笑えんでくれることが多い。 例えば、毎朝のテナントビルでのエレベータでの乗り降り。 どこのオフィスの人かわからないが、視線があうときまってにこっとしてくれる。 それが、美人の女性であったりすると、今日は朝から運がいいぞという気になってしまう。  米国在住のおり、自宅近所で時々散歩をしたが、同類とすれ違う時には、ハーイとかハローとか言ってスマイルしてくれる人も多い。互いに誰かは全く知らないのだが。

このスマイルの術は子供の時から自然に身についた習慣ということが、子供たちが学校から定期的にもらってくるクラス全体写真をみるとよくわかった。 現地の子供たちは、みな微笑んで実に明るい顔をしている。 その中で、わが子を含めアジア系の子供たちは、笑顔がどことなくぎこちない。 あるいは口を真一文字にしている。 この好対照が国民性を反映してかえっておもしろくもあるのだが。 写真をとる時には写真屋さんが決まって「スマイル」と言ってくれるのだが、タイミング良く、よい笑顔を作るのはなかなか難しいものだ。 それでも、何度か回を重ねるうちに笑顔が”さま”になってきて、いかにもまわりの米国人たちと溶け込んできたなという様子がみてとれる。微笑する少女イメージ

大人でも同じである。 誰しも経験のあるのは免許証の写真である。 米国では、免許証をDMV (Department of Motor Vehicle)というところで交付してもらうが、その写真をとる時に、この「スマイル」があった。 DMVはお客対応が悪いと総じて評判が芳しくなく、恐いおばさんが窓口に多くいる所でもある。 私の場合も大変こわーい顔のおばさんが、ロードテスト(実地試験)の教官となり、さらに運のいいことに写真もこのおばさんにとってもらうことになった。 無事にロードテストが終わってベンチで待っていると、大きな声で呼び捨てで名前を呼ばれる。 そこで、カメラの前に座って身構えると、依然気難しい顔のおばさんが突然大きなダミ声で「スマイル」と大声をあげたのである。 そこではっと思った瞬間、パシャであった。 これでは出来が悪いのは当たり前である。

そんなわけで、オフィスに戻って米国人の同僚たちに出来たての免許証を見せ、かわりにその同僚の免許証を見せてもらったところ、なんと皆いいスマイルをしているではないか。 やはりこれは違う、修行が足りないなというのを実感してしまった。  (6月13日)