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    6. 「アイデアを生む場所」

中国の故事に三上の思考というのがある。

鞍上、枕上、厠上がそれであり、良いアイデアが浮かぶ場所をいいあてたものである。鞍上とは馬上のこと。現代ではさしずめ車やバスなどの乗り物に乗っている時ということになる。 枕上とはベッド、厠上はトイレである。 誰しも思い当たるふしがあるものと思う。いづれの場所もひとりきりで自由に思いを巡らすことができるのが共通している。 心身ともリラックスすることで新たな着想が浮かびやすい状態になる。人はこのような時に、眠っていた過去の記憶や潜在意識が突然呼び覚まされるのであろう。駆け足する馬イメージ

かつて米国の調査機関が「どのような時にアイデアが生まれるか」とたずねたことがある。 そのなかで一番多かった答えは「車のなか」であったとのこと。 米国は何をするにも車の社会で自家用車通勤が多い。1日のなかで車内で過ごす時間が多いから当然と思えるかもしれないが、やはりこれには中国の故事とつながる真理がありそうだ。

おそらく精神的にリラックスしている状態で車窓から飛び込んでくる様々な景色が大脳の働きに新しい発想を促す効果があるのではなかろうか。

忙しい日本のサラリーマンにとって、「三上」にもう一つ加えるとしたら風呂になるに違いない。さしずめ、「桶上」あるいは「盤上」と言ったらいいのだろうか。 バスルームは一人きりになれ心身とも最もリラックスできる至上の場所である。湯船にゆったりと体を浸していると心も体も軽くなる。湯船に浸っている時に「浮力の原理」を発見したといわれるアルキメデスでなくとも、楽しいことや前向きの思いがでてくる。

風呂やトイレという場所は、われわれの心理と生理的機能との相乗効果があるのであろう。温水に浸ったりシャワーで皮膚を刺激されると血液の循環がよくなり大脳の働きが活発化されるのかもしれない。大脳生理学者にうかがってみたいところである。 (2月17日)