ADSLの普及が急速に進んでいるが、わが国は家庭までの全区間を光ファイバー化するFTTH(Fiber To The
Home)の環境でも世界の最先端をいく先進国である。
NTTが長年にわたって敷設してきた光ファイバーは、多くの地域ではすでに家庭のすぐ近くまで届いている。 NTT局舎間やNTTと他の事業者との接続用の回線部分は、ほぼ100%光ケーブル化が完了している。 加入者回線については、NTT加入者収容局から「きせん点」とよばれる場所までの光ケーブル化工事が進められてきた。 きせん点は多くの場合、家庭近くの電柱の上にあり、FTTHのためには、ここからドロップダウンケーブルを各家庭に引き込む。
ドロップダウンケーブルは家の壁などに固定されてから、どこか適当な穴から部屋に入いることになる。光ケーブルというと曲げに弱く扱いが難しいとの感覚があるが、ケーブル構造の工夫やファイバー心線の被覆の改良などによって敷設は随分楽になった。 銅線に比べて細くて軽いため、メタルケーブルと取り扱いが同等レベルになっている。 逆に経年劣化が少ないのでメンテナンスの負担が少なくてすむ長所がある。
部屋のなかに入った光ケーブルは、ルータやパソコンへの入出力に適した電気信号に変換するためメディアコンバータという装置に接続する。 このメディアコンバータは光LAN製品の部品が使えることから、LANの光化の普及とともに、そのコストも急速に下がってきた。 収容局側と加入者側の一対ですでに10万円を切るレベルとなり、まだADSLモデムより高いがコストの上でもADSLと比肩できるレベルになってきた。
FTTHの魅力は圧倒的な通信速度である。 加入者線部分に限ってみると100メガビット/秒の能力があるから、現在の最高速のADSLの約10倍の速度になる。 ADSLでアプリケーションが拡がっていけば、次には、FTTHが欲しくなる。 より速く、より綺麗に、加えて、より安く、人間の欲求には限りがない。 (4月30日)