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    38. 「バーチャルカンパニー」

ネットを最大限に活用した会社組織としてバーチャルカンパニーがある。バーチャルカンパニーでは社員が顔をそろえる物理的なオフィスはもはや存在しない。 社員は地理的に散在するそれぞれの活動場所からネットを通じて作業を進めていく。 通勤するわけではないから本社は日本のどこであってもいいし、社員は世界のどこにいてもいい。 夢のような話であるが、コンピュータプログラムの作成やデザインや編集などのクリエイティブ系の仕事ではすでに現実のものになっている。 地理的な制約がないから、プロジェクトの遂行に必要な専門家を世界中に求めることができるわけだ。

バーチャルカンパニーとまではいかないがコンピュータやゲームのソフトではネットを利用した世界分業が盛んである。 ソフトは小さな部品に分割することで、多数の人間により同時並行的に生産することができるが、その製造場所はどこでもよい。 その部品を検査し、つなぎあわせ、そして最終試験する過程で、対象となるプログラムや作品は地球を何十回も往復する位、やりとりされる。 しかし、作業を担当する人々はお互いに一度も面と向かって会うことがなくても仕事を終えることができるようになった。地球を覆う通信人イメージ

これは情報通信機能、とりわけインターネットによって可能になったことはいうまでもない。文章、データ、画像は簡単にやりとりできるし、連絡はメールですますことができる。 ビデオ会議も当たり前になり、何時間もかけて打ち合わせだけのために出張する必要は少なくなった。 むしろ、メールやTV会議の方が効率的な情報交換ができることが多い。 ことに常に時間と戦っているソフト開発では、通信によってグローバルな時差を巧みに利用できるため作業のスピードアップ化が図られるメリットもある。

例えば、日本と米国との間の共同作業の場合である。夜になると、それまでの作業結果を相手側の担当者に送信して次の作業を依頼する。 すると自分たちが寝ている間に、相手国のパートナーが続きの作業を行い、結果を翌朝に返送してくれる。 今度はこれをもとにその続きをやるという具合である。 アメリカはインドやイスラエルなどの国々との間でも上手に時差が利用できるので、多くの企業がこうした形で開発を行っている。

高度の技術やスタジオ設備を要するゲームソフトは米国西海岸で作られているものが少なくない。かつて高速データ通信が難しかった頃には、日米間の飛行機でディスクに蓄積したデータを手荷物で往復する開発者がいたが、今や隔世の感がある。

勿論、情報通信がいくら進歩したといっても、出張して面と向かって会うことが全く無駄というのではないが、通信ですますことができればテロに会う危険も回避できるのである。 (4月14日)