部下がテレワークをする場合、自分の目が届かなるから羽根をのばしてサボるのではないかと心配する上司もいるのではなかろうか。 しかし、このような上司は落第である。 心配すべきはむしろ逆のケース、すなわち、つい無理をしてオーバーワークとなる危険の方である。 一人で作業をしていると周囲に気をとられることがないからコンピュータにかじりついたまま時間がたつのを忘れ過労に陥りやすい。 通常勤務より質の高い成果をあげようと思って、ついつい無理をする人もいる。
そこで、テレワーカは働きすぎに陥らないように、適度な休息休憩をとり、始業終業の区切りが明確になるよう自らの時間管理に努める必要がある。 リラクセーションの方法も各人の好みによって自由にできるのがテレワークのメリットでもある。
テレワーカの過労問題は、会社の管理責任の問題でもなる。 雇用者である会社は、非雇用者である労働者を決められた場所で、安全に健康な状態で労働させる管理義務を負っている。 テレワーカが万一、自分自身の時間管理や健康管理がうまくできなかったために過労で倒れるという事故が発生した場合には、会社は管理責任を問われる。労働災害の認定の問題も微妙になってくる。
しかし、過度に心配しすぎるのも適当でない。テレワークは元来、労働時間の管理を大幅に個人の裁量に委ねるのが趣旨であるから、個人の労働スタイルを無視して、ことこまかにテレワーカーの在宅での勤務時間を規定して報告させるというようなことは本末転倒である。 健康管理を含むテレワーカ自身の自己管理能力の向上は勿論であるが、労働法規面においても柔軟な勤務形態の導入を促進する改善が必要となっている。(4月7日)