21世紀になって3年目を迎えた。今年のキーワードの一つに2000年問題ならぬ2003年問題というのがあるようだ。
コンピュータの誤動作でなく東京のオフィス事情が問題になっている。品川や六本木などの都心部では大規模再開発プロジェクトが進行中であり、建設中の巨大オフィスビルが本年央より相次いで竣工する。 これに伴って、新規オフィススペースの供給量が一気に増加するのが「問題」なのだそうである。 景気低迷でオフィス需要が芳しくない中で、大規模オフィススペースが港区等の都心3区に集中して生まれることから、ビルオーナーは供給過剰を心配している。
他方、利用者側にとっては現在のオフィスの利用条件を考え、移転を検討する良いチャンスである。
以前よりかなり改善されたとはいえ、わが国のオフィス水準は欧米に比較してまだまだ低い。空調や照明などの基本的な機能では大きな差はないが、美観や快適性といった面では大きく劣っている。大抵どこのオフィスもオープンな空間に田の字型に机が並べられ、書類や事務機器が雑然と多くのスペースを占有している。 人口密度の高いオフィスでは、会話の声、電話、機器の騒音が交錯する。 世の中全体が知識社会へ移行するなかで、 企画や分析などじっくり思考を要するような業務の比率が増加したが、このような従来型のオフィスでは仕事の能率は一向に上がらない。
そこで今年は、オフィス環境の悩みを抱える数多くの企業にとって、移転などを契機に業務内容に適した形に職場のリフォームを行う絶好のタイミングである
オフィスのリフォームとあわせ、業務フローを大胆に見直し、組織のフラット化、ペーパーレス化、労働形態の柔軟化をIT活用とともに推進するのである。それによって、知識やノウハウの蓄積共有が進み、デフレ時代に打ち勝つ企業競争力が生まれてくるであろう。 2003年は、このような形でオフィスリニューアルとともに企業再生が本格化する年になることを期待したい。 (1月27日)