世に一流と呼ばれる企業は、社員教育制度の一つとして海外留学や国内留学の制度をもっている。 仕事に就いて後に、一定の目的意識を持って学校で勉強し直すことは、当人にとって非常に有益である。 職場復帰後、成果を周囲に伝授することで企業全体としてのメリットがある。 しかし、こうした制度を持っているのは一部の大企業に限られており、対象となる社員も少数である。 派遣には多額の経費がかかるうえ、例えば1年という期間、有能人材が企業の最前線から離れるわけであるから企業にとっては相当の覚悟がいる。
そこで期待されるのがeラーニングである。 近年、大学の一流の講師陣による最新技術やビジネス理論もeラーニングで学習できるようになった。 例えば、米国MIT(マサチューセッツ工科大学)は一昨年、ほぼ全ての講義内容(最終2千コース)を今後10年間、無料で公開するというプロジェクトを発表し、多方面に衝撃を与えた。 慶応大学の湘南藤沢キャンパスは、SOI(School of Internet)という実証実験プロジェクトの中で、一部の講義内容をインターネットで視聴できるようにしており、老人から子供まで数千人の学生が勉強しているという。
企業では、これまで企業内研修を集合型の研修や通信教育、およびOJTに頼ってきたが、スピード経営の時代である。 隙間時間を利用して、必要なコースのみを必要なだけ学習できるというのがeラーニングである。 しかし、現実には「いつでもどこでも」というわけにはいかない。 会社の自席では周囲の目が気になったり、雑音も多い。 そもそもPCに機能がなかったり、ストリーミングビデオなどのアクセスを許していない場合が多い。 「いつでも」できるは、ついつい後回しされることでもある。
そこでお勧めなのが「在宅留学」である。 例えば、1週に1度、自宅からブロードバンドで勉強するのを許すのである。 当然ながら、在宅テレワークとの組み合わせもいい。
米国のコミュニティカレッジを見て思ってことだが、日本のサラリーマンは多忙にかまけて、勉強がおろそかになっているように見受けられる。 「駅前留学」や「お茶の間留学」はNOVAの専売特許になったが、「在宅留学」はこれからである。(3月31日)