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    26. 「親の背中を見せていますか」

今や、日本の労働者の7割がサラリーマンだそうである。 50年前には、農業や漁業などに自営業として従事する者が多く、会社づとめのサラリーマンは3割ほどに過ぎなかったから、急激な変化である。

このようなサラリーマン化は、当然ながら子供にとっての父親像に大きな変化をもたらしている。 農家や猟師の家では、子供は父親の仕事を身近で見ることができた。 時には、仕事を見よう見真似で手伝うなかで、父親の優れた技を知り、労働とは何かを体験することができた。 しかし、父親が遠距離通勤のサラリーマンの場合、このようなことはできない。 子は親の背中を見て育つというが、夜の明けきれぬうちに出勤し、深夜になって帰宅する毎日では、この大切な背中さえ子供に見せることができない。ビジネスマンの後姿イメージ

以前、仕事熱心な同僚は次のようなことを漏らしたこともある。小学校の息子さんが学校でお父さんの絵を描くことになったが、どうしても顔が思い出せなかったので、かわりに機関車の絵を描いたというのである。 これには痛く反省し、それから暫くの間は、子供に顔を見せるために早く帰宅するようになった。

それでも給料日に、現金がはいった給料袋を母親に渡すのを見ると、毎日遅くまで働いて稼いでいるんだなというのが子供の目にもわかった。 でも、この重要な儀式も自動振込みであえなく消え去ってしまった。

米国でもサラリーマンが多い。そこで、こうしたことが心配になったからであろうか、自分の子供たちに父親のオフィスを見学させる日を決めている企業が割合多い。

子供たちに、親の仕事ぶりを見せるということは、家族のつながりを増し、教育上の効果が大きい。 仕事の内容そのものはわからなくても、仕事に取り組んでいる姿勢を見せることができる。 その点、テレワークは子供に親の仕事の一端を垣間見させるという効果もあるように思うが、どうであろうか。 (3月26日)