今月上旬、臨海部の東京ファッションタウンビルにて開催されたEスクエアアドバンス成果発表会に参加の機会があった。 全国各地の学校で行われている教育や学習へのIT活用についての今年度の報告会である。
公立学校の先生や教育委員会の方々が20分から30分程度の持ち時間でIT活用の様々な試みについて教育現場での苦労話を織り交ぜて代わる代わる披露してくれた。ITを活用する教師が少ないといわれているが、なかなかどうして元気一杯で立派な方々ばかりであった。 もっともこれらの方々はIT教育の頂点に立つ選りすぐりの人間だから当然ではあるが。
こうした先生方も学校内では少数派で、周りから半ば白い目で見られながら日々奮戦しているらしい。 普通教室にパソコンを置いたところ、「給食の配膳台が置けなくなった。」「何でこんなに大きいの。」「コンピュータを使うより人間相手がいいから先生になったのに」等々。
ハードはそろったが活用する教師の平均レベルやコンテンツはまだまだのようである。 良いコンテンツはないという訳でなく、眠っていてどこにあるかわからないというのが正しいかもしれない。この発表会は各地の試みを互いに紹介し、優れたノウハウやコンテンツを交流させようというのも一つの目的である。 今回筆者がいくつかの発表が大変おもしろいと思ったので何回かに分けて紹介してみたい。
一つは宮崎県宮崎市立池内小学校3年担任の水野先生による「やってみよう!10秒自己紹介」である。 子供たちが10秒間で自己紹介するのを別の子どもたちがビデオで撮影する。 それをサーバーに保存し、生徒がパソコン上で見てお互いに比較するというものである。 撮影はデジタルカメラを使っている。 最近のデジタルカメラは動画機能がついているし、ファイルサイズも小さくできるので扱いやすい。
色々な効果があったとのこと。まずは10秒という時間でどれだけ話せるかが体得できたこと。友達と比較して「○○くんは言葉がはっきりしている」「カメラを向いて話している」などと気づく。 更に、直接会うことができない他の学校にも広げて交流のきっかけにしたというのである。 仕掛けは割合に単純であるが、そこがいいところである。 発表能力の育成、情報の交流という意味で意義のある先駆的な試みと思われた。
(3月18日)