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    114. 「社長は大陸に夜逃げ」

最近読んだ、邱永漢さんの本(注)によると、台湾では社長の夜逃げがはやっているという。その行き先は中国本土である。 近年の経済情勢、ことに中国からの安い商品の大量流入などによって、台湾の中小企業もわが国と同じように厳しい環境下にある。

日本の中小企業主は、このような時にどうにもならないところまでがんばってしまう。  そして身を削るどころか、命を絶ってしまうような悲惨なケースが後をたたない。 なぜなら、会社が左前になったときに、会社をたたむのがとんでもない大仕事であるからである。犬に追われて逃げる泥棒イメージ

そんな時、台湾の企業主はその大仕事を諦めて、というより、再起をかけて中国大陸に高飛びするのである。 そのあとに、少し頭のよい幹部が続くこともあるとのこと。   そして同じような仕事を、今度は中国本土で安い労働力を使ってはじめるらしい。 体制が違うこともあるから、借金とりたては本土までは追ってこない。 事業での経験では中国人より一日の長があるし、台湾での失敗経験も生かせるから、今度は高い確率で成功を収めることになる。

台湾人は列強の大国の狭間で生きてきたから、危機対応能力に長けており、世界のどこにでも渡って生きていく術を心得ているのだそうである。 邱さんは日本の中小企業のオヤジさんは台湾人のこうした処世術を見習った方がいいと言っている。

勿論、中国にわたって再起をかけるには言葉の問題が大きい。 日本人はもともと、外国から侵略を受けたことがないし、農業という土地にしがみついてきた島国民族だから、そう簡単には真似のしようがない。 しかし、そのバイタリティ、あるいは楽天性は参考にしたいものである。 (11月4日)

(注) 「金儲けはグローバル化の巨像に乗って」、邱永漢著、廣済堂出版、2003年8月