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    214.「人と防災センター」(5月15日)

神戸には阪神淡路大震災の経験と教訓を後世に伝えるために建設された「人と防災センター」がある。

ここには、市民が提供した数多くの資料が集積されているほか、世界各地で起こっている大規模自然災害や防災対策についても学ぶことができる。大地震

また、最上階(6階)にあるシアターでは、阪神淡路大震災が襲った状況を大型スクリーンのシュミレーション映像と音響で再現している。

最近、ここを見学する機会があったが、大地震の凄まじい破壊力に圧倒され、手足が思わず震えてしまった。神戸市内の各地を突然襲った大地震の模様を場所を次々に移しながら繰り返し再現する。三宮駅前、鉄道駅、高速道路、商店街、一般住宅等々、寝静まった早朝の市街が轟音とともに倒壊し、一瞬のうちに瓦礫の山と化す。高速道路は波打って、ここを走行する車の前方視界が突然なくなる。住宅内では、茶箪笥から食器がガラス窓を突き破って水平に飛んでくる。

このシアターを出ると、震災直後の様子が被災者から提供された手記や品々により語られる。避難所での苦労やその後の復興の歩みなども知ることができるようになっている。

その案内役のご婦人のお一人に、足が震えてしまったなどと映像の感想を話したところ、ご本人は怖くてまだ見ていないと話していた。すでに十年以上が経過した今、悪夢を思い出すのが辛いのである。街は見事に甦ったが、市民が受けた心の傷跡は癒えるには余りに深く大きい。(5月15日)