以前、紹介したように米国連邦政府では、2000年に制定された法律にもとづき政府機関職員に対するテレワーク推進施策が展開されている。
人事管理局(OPM)は、2001年より毎年、合計80以上におよぶ全省庁および独立機関からのテレワーク実施状況報告をとりまとめている。公開中の2004年度の統計によると、回答のあった82機関(合計職員数 約180万人)のうち、テレワーク実施者は約14万人であり、前年に比較し37%増加したという。
わが国でも近年、国家公務員へのテレワーク導入にむけて、試行的な取り組みが
始まっている。
例えば総務省では、昨年度のトライアルの報告がホームページで紹介されている。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060407_2.html
昨今は相次ぐ情報セキュリティ事故などでオフィス外での作業に懸念を示す向きもあるが、充分な対策を行うことで解決可能であることが示されている。また、仕事の能率の面でも概ね良好な効果が得られたなど、大変参考になる結果が掲載されている。
テレワークには、人材活用や一極集中の緩和など大きな社会的効果があるが、我々の働き方の習慣や意識の転換が必要なだけに一筋縄でいかない。時間管理や人事評価面での規定の整備変更も必要である。また、わが国ではとりわけ横並び意識が強いから、率先してやろうとする企業は少ない。そこでクールビズのように、国の機関が率先して取り組む意義は大きい。
米国では、テレワーク推進の取り組みは1980年代はじめのオイルショックごろから始まっており、すでに四半世紀の歴史を有している。その米国においてさえ、健全な形で拡大を図っていくことは決して容易でない。それでもなお、種々の障害を乗り越えながら着実な進展をとげているのは、法律にもとづき推進をしていることに加え、推進部局と各機関のコーディネータの連携により、地道かつ長期的な視点で一貫した取り組みを行っているためと考えられる。日本の関係機関の今後の取り組みに大いに期待したい。 (6月8日)