これまでビジネスパーソンにとってネットにアクセスできないほとんど唯一の場所は航空機内だった。しかしこの聖域にもネット化の波が押し寄せている。日本航空と全日空はこの冬から一部の国際線ルートで機上からインターネットにアクセスできるサービスを開始している。日本航空はロンドン線、全日空は上海線から開始し、順次他のルートにも導入していくという。 機内には無線LANのアクセスポイントが設置されるから、自分の座席のパソコンから毎秒1メガビットもの速度でインターネットにアクセスできるので、メールを送受したり、WEBへのアクセスが可能だ。そこで機内から到着地の天候を確認したり、ホテルの予約をするといったことができる。また、VPNにも対応しているから、企業内のイントラネットへの接続も可能である。
料金はルートや利用時間によって異なる。使い放題の場合、日航ロンドン線では29.95ドル、全日空上海線では14.95ドルとのこと。使った時間分だけ支払う従量制料金もあり、支払いはクレジットカードで行う。
ネットワーカーにとって国際航空路の機上では10時間以上もの間、ネットから隔絶されていたから、かねてよりネット化の要望が強かった。そこで、航空会社にとってはサービス面での差別化になるだろう。この通信には静止衛星が使われている。超音速で飛行し、安全にはことさら厳しい条件が課せられている航空機である。衛星通信用のアンテナや無線機の設置などのため設備には1機あたり、億単位の費用がかかるそうであるが、お客様へのサービスということには代えられない。
機上での娯楽といえば新聞、雑誌、映画が定番だったが、それでも時間をもて余すことが多かったからインターネットがあれば退屈しのぎにもなる。しかし機上だけが上司のメールが届かない場所と思っていた人には逆に楽しみを奪う悪い知らせかもしれない。 (12月3日)